呼吸停止と心停止は別であるが,無治療の場合,一方により必ず他方も引き起こされる。(呼吸不全については 呼吸不全および機械的人工換気 ,呼吸困難については 呼吸困難 ,低酸素症については 酸素飽和度の低下 も参照のこと。)
呼吸不全は,酸素化,CO 2 排出,またはその両方の障害であり,生命を脅かす病態である。呼吸不全の原因は,ガス交換の障害,換気の減少,またはその両方がありうる。一般的な症候には呼吸困難,呼吸補助筋の使用,頻呼吸,頻脈,発汗,チアノーゼ,意識変容などがあり,無治療の場合最終的には意識障害,呼吸停止,および死に至る。診断は臨床的に行われるが,動脈血ガスおよび胸部X線が補助的に用いられる。通常,治療はICUで行い,基礎となる原因の治療,酸素 投与,分泌物の管理,および必要な場合には換気補助を行う。
救命医療は病状が最も重篤な患者のケアに特化している。こういった患者は,熟練したスタッフが配属されたICUで治療を行うのが最もよい。病院によっては,特定の患者群(例,心疾患患者,外科患者,神経学的異常のある患者,小児,新生児の患児)に対し別々のICUを有するところもある。ICUは患者1人当たりの看護師の人数が多く,処置および生理学的パラメータのモニタリングなど,必要な集中治療管理を行える。
心停止は心臓の機械的活動の停止であり,その結果,循環が途絶する。心停止が起こると血液が重要な臓器に流れなくなり,臓器が酸素欠乏に陥り,未治療のまま放置すると死に至る。突然の心停止とは,発症期間の短い(ときに前兆を伴わない)予期せぬ循環停止である。米国では病院外で毎年約400,000人に突然の心停止が生じており,死亡率は90%を超える。