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湾岸戦争症候群

執筆者: Margaret-Mary G. Wilson, MD, Medical Director, Health Services, United Healthcare, Maryland Heights

湾岸戦争症候群は、1992年の湾岸戦争で戦った米兵、英兵、カナダ兵のうち10万人を超える帰還兵が経験したさまざまな症状から成っています。

  • 湾岸戦争に従軍した帰還兵の中に、さまざまな症状を示す人がいます。

  • 帰還兵は多様な、おそらくは有害な物質に曝露していますが、原因は不明です。

  • 大半は神経系の症状です。

  • この症候群は、入院の必要性を高めたり、死期を早めるものではないようです。

湾岸戦争症候群はまだ十分に解明されていません。ペルシア湾からの帰国後数カ月以内に、米国、英国、カナダの異なる部隊の帰還兵が、頭痛、疲労感、不眠、関節痛、胸痛、皮膚の発疹、下痢などさまざまな症状を訴え始めました。しかしほとんどのケースで、患者が訴えた頭痛や吐き気などの症状は、医師による客観的な確認を得られませんでした。皮膚の発疹など症状が確認できたケースでさえ、原因の特定には至っていません。

湾岸戦争症候群の原因は不明です。湾岸戦争で戦った兵士の多くは化学兵器、劣化ウラン兵器、殺虫剤、油田火災による煙など、多数の有毒性のある物質に曝露しています。また、刺激性の強い石油精製品、放射能や有毒ガスによる汚染を除去する除染液、さまざまな空気中の浮遊物質などに曝露してアレルギーを起こした可能性もあります。湾岸戦争での生物戦に備えて米兵は炭疽菌の予防接種を受けており、この予防接種が原因である可能性も指摘されていますが、このワクチンは米兵以外で接種を受けた人には湾岸戦争症候群の症状を引き起こしていません。化学兵器による致死的影響を防ぐために使用されたピリドスチグミン錠も可能性のある原因の一つとして指摘されています。しかしいずれの要因も、湾岸戦争症候群と関連しているとはっきり証明されているわけではありません。有毒物質に曝露しても症状を示さない人は多数おり、また症状を示しているのに有害物質への暴露が確認できない人も多数います。

症状

症状は主に神経系です。記憶力、論理的思考力、集中力、注意力などの低下、不眠、抑うつ、疲労感、頭痛などがあります。その他の症状には、身の回りを認識する能力(見当識)の喪失、めまい、勃起障害(インポテンス)、筋肉痛、筋肉疲労、脱力感、チクチクする感覚、下痢、皮膚の発疹、せき、胸痛などがみられます。

診断、治療、予後(経過の見通し)

診断と治療の方法は確立されていません。このため、医師は症状の緩和に重点を置きます。

湾岸戦争症候群の症状を訴える帰還兵たちは、同世代の人と比較して入院率や死亡率が特に高いということはありません。