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ブドウ球菌食中毒

執筆者:

Jonathan Gotfried

, MD, Lewis Katz School of Medicine at Temple University

レビュー/改訂 2021年 10月
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やさしくわかる病気事典
本ページのリソース

ブドウ球菌食中毒は、ある種のブドウ球菌が作る毒素に汚染された食べものを摂取することで起こり、下痢と嘔吐が起こります。

  • この食中毒は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)が作る毒素によって引き起こされます。

  • この毒素は汚染された食べものでみられます。

  • 典型的な症状としては、汚染された食べものの摂取からおよそ30分から8時間後に重度の吐き気と嘔吐がみられます。

  • 通常は症状に基づいて診断が下されます。

  • 食べものを注意深く調理することが、食中毒予防の最善の方法です。

  • 治療としては通常、水分を十分に摂取することがあげられます。

ブドウ球菌 黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)感染症 黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)は多くの一般的なブドウ球菌の中で最も危険とされています。この グラム陽性の球状細菌(球菌)(図「 細菌の形状」を参照)は、しばしば皮膚感染症を引き起こしますが、肺炎、心臓弁の感染症、骨の感染症を引き起こすこともあります。 これらの細菌は、感染者と直接接触したり、汚染された物を使用したり、くしゃみやせきによって飛び散った飛沫を吸引することで感染します。... さらに読む 黄色ブドウ球菌(<i >Staphylococcus aureus</i>)感染症 は食べものの中で繁殖し、そこで毒素を作ります。つまりブドウ球菌食中毒は細菌自体というよりも、汚染された食べものの中にすでに存在する細菌が作った毒素を摂取することによって起こります。この毒素に汚染されやすい典型的な食べものは、カスタードクリーム、生クリームを使ったケーキ、牛乳、加工肉類、魚類などです。この細菌は皮膚の表面にも存在するため、食品を扱う労働者が作業前に適切な手洗いをしない場合、集団発生のリスクが高まります。この細菌は加熱調理が不十分な食べものや室温で放置された食べものの中で増殖して、毒素を作る可能性があります。多くの食べものは、汚染されていても、味や匂いは正常です。

ブドウ球菌食中毒の症状

ブドウ球菌食中毒の症状としては通常、汚染された食べものの摂取からおよそ30分から8時間後に重度の吐き気と嘔吐が急に始まります。その他の症状としては、差し込むような腹痛や下痢のほか、ときに頭痛や発熱もみられます。水分と 電解質 電解質の概要 人の体内の水分量は体重の2分の1をはるかに上回ります。体内の水分は様々な空間(体液コンパートメントと呼ばれています)に制限されて存在していると考えられています。主に次の3つのコンパートメントがあります。 細胞内の体液 細胞の周囲の体液 血液 体が正常に機能するには、これらの各領域で体液量が偏らないようにする必要があります。 さらに読む が大量に失われると、筋力低下と大幅な血圧低下が起こります(ショック ショック ショックとは、臓器に向かう血流が減少することで、酸素の供給量が低下し、それにより臓器不全やときに死にもつながる、生命を脅かす状態です。通常、血圧は低下しています。 ( 低血圧も参照のこと。) ショックの原因には血液量の減少、心臓のポンプ機能の障害、血管の過度の拡張などがあります。 血液量の減少または心臓のポンプ機能の障害によってショックが起きると、脱力感、眠気、錯乱が生じ、皮膚が冷たく湿っぽくなり、皮膚の色が青白くなります。... さらに読む )。症状は通常、1日くらい続いて、完全に回復します。

ときに、ブドウ球菌食中毒によって死亡することがあり、特に非常に年少の人、非常に高齢の人、長期の病気で衰弱している人ではその可能性が高まります。

ブドウ球菌食中毒の診断

  • 医師による評価

  • ときに検査室での食べものの検査

より具体的なブドウ球菌食中毒の診断は、同じものを食べた他の人にも同様の症状がみられる場合や、胃腸炎の原因が1つの汚染源に追跡できる場合に疑われます。診断の確定には、検査で中毒の原因と疑われる食べものの中にブドウ球菌が存在することを特定する必要がありますが、結果がどうであれ治療は変わらないため、通常はこの検査は行われません。

ブドウ球菌食中毒の予防

  • 食べものを適切に調理し、適切に扱う

十分に注意して調理することでブドウ球菌食中毒は予防できます。皮膚に感染症がある人は、それが治癒するまで調理をしないようにします。食べものはすぐに食べるか、冷蔵庫に入れ、室温に置かないようにします。

ブドウ球菌食中毒の治療

  • 水分補給

  • ときに、吐き気や嘔吐を抑える薬

  • ときに輸液

通常、ブドウ球菌食中毒の治療は水分を十分に補給することで行われます。激しい吐き気や嘔吐を抑えるために、注射か坐薬で制吐薬が投与されることがあります。ときに、水分が非常に大量に失われ、静脈からの水分補給(輸液)が必要になることがあります。

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