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排尿回数の増加

執筆者:

Geetha Maddukuri

, MD, Saint Louis University

レビュー/改訂 2022年 12月
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1日当たりの排尿回数は大半の人で約4~6回(主に日中)です。健康な成人の1日当たりの排尿量は700ミリリットルから3リットル程度です。排尿の増加とは以下のいずれかを意味します。

  • 尿の量が増加している(多尿)

  • 尿の量は正常ながら、排尿の回数が増加している(頻尿)

  • 両方

排尿回数の増加の原因

尿量が増加する原因の一部は、排尿回数が増加する原因とは異なります。しかし、体内で尿が大量に作られる人は、頻繁に排尿する必要もあるため、これらの2つの症状はしばしば一緒に検討されます。

頻尿の最も一般的な原因は以下のものです。

成人と小児のいずれでも多尿の最も一般的な原因は以下のものです。

尿崩症は抗利尿ホルモン(またはバソプレシン)と呼ばれるホルモンの問題により多尿を引き起こします。抗利尿ホルモンには腎臓での水分の再吸収を促進する働きがありますが、抗利尿ホルモンの分泌量が不足したり(中枢性尿崩症 中枢性尿崩症 中枢性尿崩症(にょうほうしょう)は、バソプレシン(抗利尿ホルモン)の欠乏のために非常に薄い尿が過剰につくられる病気です(多尿症)。 中枢性尿崩症には、脳腫瘍、脳の損傷や脳の手術、結核、他のいくつかの病気など、複数の原因があります。 主な症状は、強いのどの渇きと多尿です。 診断は、尿検査、血液検査、水制限試験に基づいて下されます。 中枢性尿崩症の患者には、通常、バソプレシンやデスモプレシンという薬が投与されます。 さらに読む )、抗利尿ホルモンに対して腎臓が適切に反応できなくなったり(腎性尿崩症 腎性尿崩症 腎性尿崩症では、尿細管がバソプレシン(抗利尿ホルモン)に反応しないために、ろ過された水分を体に再吸収することができず、薄い尿が大量に作られます。 腎性尿崩症の多くは遺伝性ですが、腎臓に影響を及ぼす薬や病気によって引き起こされる場合もあります。 症状としては、強いのどの渇きや大量の排尿などがあります。 腎性尿崩症の診断は、血液検査と尿検査の結果に基づいて下されます。 水分の摂取量を増やすことは、脱水の予防に有用です。 さらに読む )すると、排尿量が異常に増加します。

特定の腎疾患(間質性腎炎 尿細管間質性腎炎 尿細管間質性腎炎とは、腎臓の尿細管とその周囲の組織(間質組織)に炎症が発生する病気です。 この病気は腎臓に損傷を与える病気、薬剤、毒性物質などによって引き起こされます。 症状としては、排尿の増加、夜間の排尿、発熱、発疹などがみられます。 血液検査と尿検査のほか、通常は画像検査が行われ、ときに腎生検も行われます。 有害な薬剤の使用を中止し、毒性物質への接触を断ち、基礎疾患を治療することで、腎機能は改善されます。 さらに読む 、または 鎌状赤血球貧血 鎌状赤血球症 鎌状赤血球症は、鎌状(三日月形)の赤血球と、異常な赤血球の過剰破壊による慢性貧血を特徴とする、遺伝性のヘモグロビン(酸素を運搬する赤血球内のタンパク質)の遺伝子異常です。 必ず貧血がみられ、ときとして黄疸がみられます。 貧血、発熱、息切れなどが悪化し、長管骨、腹部、胸部などに痛みを伴うと、鎌状赤血球症の疼痛発作(症状が急速に悪化する危険な状態)が疑われます。 電気泳動法と呼ばれる特別な血液検査を使用して、鎌状赤血球症かどうかを判定するこ... さらに読む 鎌状赤血球症 による腎損傷など)がある場合も、腎臓で再吸収される水分量がこれらの病気により減るため、過剰に排尿することがあります。

排尿回数の増加の評価

排尿の問題を主治医に相談することには、多くの人がためらいを覚えます。しかし、排尿の増加を引き起こす病気にはかなり重篤なものもあるため、過剰な排尿がみられる人は医師の診察を受ける必要があります。以下では、どのようなときに医師の診察を受けるべきか、また受けた場合に何が行われるかについて説明しています。

警戒すべき徴候

排尿の増加がみられる場合は、特定の症状や特徴に注意が必要です。具体的には以下のものがあります。

  • 脚の筋力低下

  • 発熱および背部痛

  • 突然の発症または生後数年での発症

  • 寝汗、せき、体重減少、特に長期の喫煙歴を有する人

  • 精神障害

受診のタイミング

脚の筋力低下がみられる人は、脊髄の病気がある可能性が考えられますので、直ちに病院に行く必要があります。発熱および背部痛がある人は、 腎臓の感染症 腎臓の感染症 腎盂腎炎とは、片方または両方の腎臓に生じた細菌感染症です。 尿路の感染が腎臓に波及する場合と、まれに血流中の細菌が腎臓に感染する場合があります。 症状としては、悪寒、発熱、背部痛、吐き気、嘔吐などがみられます。 腎盂腎炎が疑われる場合は、尿検査、ときに血液検査および画像検査を行います。 感染に対する治療としては抗菌薬が投与されます。 さらに読む の疑いがあるため、1日以内に医師の診察を受ける必要があります。他の警戒すべき徴候がみられる場合は、1~2日以内に医師の診察を受ける必要があります。警戒すべき徴候がない人は、都合に合わせて可能な限り速やかに(通常は数日から1週間以内)診察を予約する必要がありますが、症状が数週間以上にわたって徐々に生じ、軽症である場合は、それより長い期間にわたって待つことも通常は安全です。

医師が行うこと

医師はまず、症状と病歴について質問し、次に身体診察を行います。病歴聴取と身体診察で得られた情報から、多くの場合、排尿の増加の原因と必要になる検査を推測することができます(表「 排尿の増加の主な原因と特徴 排尿の増加の主な原因と特徴 排尿の増加の主な原因と特徴 」を参照)。

医師は以下のことについて質問します。

  • 摂取した水分と排尿の量について質問し、問題が頻尿あるいは多尿に関連しているのかを特定する

  • 症状はいつごろからあるのか

  • 排尿の問題はほかにあるか

  • カフェイン入りの飲料など、利尿薬(尿量を増やす薬剤やその他の物質)を接種しているかどうか

いくつかの明らかな所見から、頻尿の原因の手がかりが得られます。排尿時の痛みまたは灼熱感、発熱、および背部または側腹部の痛みがみられる場合は、感染症が疑われます。カフェインを含有する飲料を大量に飲む人や、利尿薬による治療を開始したばかりの人では、利尿作用のある物質が原因と考えられます。排尿の他の問題、例えば排尿開始困難、尿勢の低下、排尿後尿滴下などがある場合、前立腺の病気である可能性があります。

いくつかの明らかな所見により、多尿の原因の手がかりも得られます。例えば、生後数年から始まった多尿は、 中枢性 中枢性尿崩症 中枢性尿崩症(にょうほうしょう)は、バソプレシン(抗利尿ホルモン)の欠乏のために非常に薄い尿が過剰につくられる病気です(多尿症)。 中枢性尿崩症には、脳腫瘍、脳の損傷や脳の手術、結核、他のいくつかの病気など、複数の原因があります。 主な症状は、強いのどの渇きと多尿です。 診断は、尿検査、血液検査、水制限試験に基づいて下されます。 中枢性尿崩症の患者には、通常、バソプレシンやデスモプレシンという薬が投与されます。 さらに読む または 腎性尿崩症 腎性尿崩症 腎性尿崩症では、尿細管がバソプレシン(抗利尿ホルモン)に反応しないために、ろ過された水分を体に再吸収することができず、薄い尿が大量に作られます。 腎性尿崩症の多くは遺伝性ですが、腎臓に影響を及ぼす薬や病気によって引き起こされる場合もあります。 症状としては、強いのどの渇きや大量の排尿などがあります。 腎性尿崩症の診断は、血液検査と尿検査の結果に基づいて下されます。 水分の摂取量を増やすことは、脱水の予防に有用です。 さらに読む 1型糖尿病 1型糖尿病 糖尿病は、体がインスリンを十分に生産しないかインスリンに正常に反応しないため、血中の糖分の濃度(血糖値)が異常に高くなる病気です。 排尿が増加し、のどが渇くほか、減量しようとしていなくても体重が減少することがあります。 糖尿病は神経の損傷をもたらし、触覚の問題を引き起こします。... さらに読む など、遺伝性の病気がおそらく原因でしょう。

女性では通常、身体診察の一部として内診を行い、子宮頸部と腟から体液のサンプルを採取して性感染症がないかチェックします。男性では、陰茎に分泌物がないか調べるとともに、直腸指診で前立腺の状態を調べます。

検査

ほとんどの場合、 尿検査 尿検査と尿培養検査 尿検査は、検尿とも呼ばれ、 腎疾患や尿路疾患の評価で必要になる場合があり、糖尿病や肝障害などの全身疾患を評価するのにも役立ちます。通常、尿のサンプルは中間尿採取法など、雑菌が混入しない方法(無菌法)で採取されます。例えば、汚染のないきれいな尿サンプルを採取する方法として、カテーテルを尿道から膀胱まで挿入する方法もあります。 尿培養は、採取した尿のサンプルに含まれる細菌を検査室で増殖させる検査で、... さらに読む 尿検査と尿培養検査 のほか、しばしば 尿培養検査 尿検査と尿培養検査 尿検査は、検尿とも呼ばれ、 腎疾患や尿路疾患の評価で必要になる場合があり、糖尿病や肝障害などの全身疾患を評価するのにも役立ちます。通常、尿のサンプルは中間尿採取法など、雑菌が混入しない方法(無菌法)で採取されます。例えば、汚染のないきれいな尿サンプルを採取する方法として、カテーテルを尿道から膀胱まで挿入する方法もあります。 尿培養は、採取した尿のサンプルに含まれる細菌を検査室で増殖させる検査で、... さらに読む 尿検査と尿培養検査 を行います。検査が必要かどうかは、病歴聴取と身体診察の結果によって決まります(表「 排尿の増加の主な原因と特徴 排尿の増加の主な原因と特徴 排尿の増加の主な原因と特徴 」を参照)。体内で尿が作られる量が正常と比較して多いかどうか不明の場合、24時間にわたって尿を収集して、その量を測定します。実際に多尿の場合は、血糖値を測定します。多尿の原因が糖尿病ではなく、静脈内のうっ血など明らかな原因がほかにみられない場合は、さらなる検査が必要になります。電解質濃度および特定の塩分の濃度(浸透圧)を、しばしば一定期間の水分制限後および抗利尿ホルモンを投与後に、血液、尿、またはその両方で測定します。

排尿回数の増加の治療

排尿の増加に対する最良の治療法は、原因になっている病気(基礎疾患)を治療することです。例えば、糖尿病に対しては食事と運動に加え、インスリン注射や経口薬で治療します。コーヒーやアルコールの摂取量を抑えることで、排尿の増加を軽減できる場合もあります。夜間に排尿のために起きなければならない人(夜間頻尿)は、就寝前の水分摂取を減らす必要があります。

夜間の排尿(夜尿)をする小児に対しては、夜尿を減らす行動(例えば、就寝前にトイレに行けたらカレンダーにシールを貼る)を実践すればご褒美をもらえるという動機づけ療法で対処することもできます。動機づけ療法がうまくいかない場合は、夜尿アラームを試みます。他の方法で効果が得られない場合は、強いのどの渇きと排尿の増加を制御するために、経口デスモプレシンが処方されることがあります。

排尿の増加の原因として考えられる利尿薬の用量も調節します。夜間頻尿のある成人は、膀胱弛緩薬や膀胱けいれんの予防薬で治療できます。抵抗性の症例はデスモプレシンで治療することもできます。

高齢者での重要事項:排尿回数の増加

高齢男性は、通常は前立腺が加齢とともに大きくなるため(前立腺肥大症 前立腺肥大症 前立腺肥大症(BPH)とは、前立腺が大きくなる良性の病気で、排尿が困難になることがあります。 前立腺は年齢とともに大きくなります。 排尿が困難になることがあり、尿意がより頻繁に、より切迫して感じるようになることがあります。 通常、診断は直腸診の結果に基づいて下されますが、前立腺がんがないか確認するために血液サンプルを採取することもあります... さらに読む という病態)、しばしば排尿回数が多くなります。高齢女性でも、出産後の骨盤支持組織の脆弱化や閉経後のエストロゲンの消失など、多くの因子に起因して頻尿が多くみられます。また高齢者は男女ともに利尿薬を服用している可能性が高く、これらの薬が排尿の増加に寄与している場合があります。排尿の増加がみられる高齢者では、しばしば夜間に排尿する必要があります(夜間頻尿)。夜間頻尿になると、睡眠の問題や転倒の発生につながり、特にトイレに駆け込んだり十分な照明がなかったりすると、転倒の危険性が高まります。前立腺肥大症に対する治療では、経口薬が使用されるほか、症例によっては手術も行われます。

要点

  • 小児および成人女性における頻尿の最も一般的な原因は尿路感染症です。

  • 多尿の最も一般的な原因は、コントロール不良の糖尿病です。

  • 50歳以上の男性で一般的な原因は前立腺肥大症です。

  • カフェインの過剰摂取は、すべての人で頻尿につながる可能性があります。

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