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がんの診断

執筆者:

Robert Peter Gale

, MD, PhD, DSC(hc), Imperial College London

レビュー/改訂 2022年 10月
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やさしくわかる病気事典
本ページのリソース

画像検査

通常、最初にがんが疑われた際には、 X線検査 単純X線検査 X線は高エネルギーの放射線で、程度の差こそあれ、ほとんどの物質を通過します。医療では、極めて低線量のX線を用いて画像を撮影し、病気の診断に役立てる一方、高線量のX線を用いてがんを治療します(放射線療法)。 X線は単純X線検査のように単独で使用することもありますが、 CT検査などの他の手法と組み合わせて使用することもあります。( 画像検査の概要と バックグラウンド放射線も参照のこと。)... さらに読む 超音波検査 超音波検査 超音波検査は、周波数の高い音波(超音波)を用いて内臓などの組織の画像を描出する検査です。プローブと呼ばれる装置で電流を音波に変換し、この音波を体の組織に向けて発信すると、音波は体内の構造で跳ね返ってプローブに戻ります。これは再度、電気信号に変換されます。コンピュータが、この電気信号のパターンをさらに画像に変換してモニター上に表示するとともに、コンピュータ上のデジタル画像として記録します。X線は使用しないため、超音波検査で放射線にさらされ... さらに読む 超音波検査 CT検査 CT検査 CT検査(以前はCAT検査とよばれていました)では、X線源とX線検出器が患者の周りを回転します。最近の装置では、X線検出器は4~64列あるいはそれ以上配置されていて、それらが体を通過したX線を記録します。検出器によって記録されたデータは、患者の全周の様々な角度からX線により計測されたものであり、直接見ることはできませんが、検出器からコンピュータに送信され、コンピュータが体の2次元の断面のような画像(スライス画像)に変換します。(CTとは... さらに読む CT検査 などの画像検査が行われます。例えば、慢性的なせきと体重減少がみられる患者では、胸部X線検査が行われることがあります。繰り返す頭痛と視覚障害がみられる患者では、脳のCT検査や MRI検査 MRI検査 MRI検査は、強い磁場と非常に周波数の高い電磁波を用いて極めて詳細な画像を描き出す検査です。X線を使用しないため、通常はとても安全です。( 画像検査の概要も参照のこと。) 患者が横になった可動式の台が装置の中を移動し、筒状の撮影装置の中に収まります。装置の内部は狭くなっていて、強い磁場が発生します。通常、体内の組織に含まれる陽子(原子の一部で正の電荷をもちます)は特定の配列をとっていませんが、MRI装置の中で発生するような強い磁場の中に... さらに読む MRI検査 が行われることがあります。これらの検査は異常な組織のかたまりの存在や位置、大きさを明らかにすることができますが、原因ががんだとは確定できません。

生検

がんが確定するのは、針生検や手術で腫瘍の一部が採取され、疑わしい領域からのサンプルが顕微鏡で検査され、がん細胞の存在が確認されたときです。通常、このサンプルには組織片を用いる必要がありますが、血液を調べるだけで十分な場合もあります(白血病など)。組織サンプルを採取することを生検と呼びます。

生検ではメスで組織の小片を切り取ることもありますが、中空の針を用いてサンプルを採取する方法が非常によく行われます。一般的に、こうした検査は入院する必要がなく日帰りで行われます(外来検査)。医師はしばしば超音波やCTを利用して、針を正しい位置に誘導します。生検は痛みを伴うことがあるため、普通は局所麻酔で対象となる部分を麻痺させてから行われます。

腫瘍マーカー

診察での所見や画像検査の結果からがんが疑われる場合、腫瘍マーカー(特定の腫瘍によって血液中に分泌される物質)の血中濃度を測定すると、がんの診断を裏付ける証拠やそれを否定する証拠がさらに得られることがあります。特定のがんと診断されている人の場合は、治療の有効性のモニタリングとがんの再発の有無を知るために腫瘍マーカーが役立つことがあります。一部のがんでは、腫瘍マーカーの値は治療後に低くなり、がんが再発すると高くなります。

一部の腫瘍マーカーは、血液中では測定できませんが、かわりに腫瘍の細胞にみられます。このようなマーカーは、生検のサンプルの組織を調べることでみつかります。腫瘍の細胞にみられる腫瘍マーカーの例としては、HER2やEGFRがあります。

がんの病期診断

がんが診断された後、病期診断のための検査が、がんの位置や大きさ、周囲の組織への浸潤の程度、他の部位への転移の状況からがんの進行状況を判定する役に立ちます。がん患者はときに、病期診断のための検査を受けている間、すぐに治療を始めてほしいと望み、気が急いて不安を感じることがあります。しかし、病期診断によって医師は最適な治療方法を見定めることができ、また予後を判定するのにも役立ちます。

病期診断では、 X線検査 単純X線検査 X線は高エネルギーの放射線で、程度の差こそあれ、ほとんどの物質を通過します。医療では、極めて低線量のX線を用いて画像を撮影し、病気の診断に役立てる一方、高線量のX線を用いてがんを治療します(放射線療法)。 X線は単純X線検査のように単独で使用することもありますが、 CT検査などの他の手法と組み合わせて使用することもあります。( 画像検査の概要と バックグラウンド放射線も参照のこと。)... さらに読む CT検査 CT検査 CT検査(以前はCAT検査とよばれていました)では、X線源とX線検出器が患者の周りを回転します。最近の装置では、X線検出器は4~64列あるいはそれ以上配置されていて、それらが体を通過したX線を記録します。検出器によって記録されたデータは、患者の全周の様々な角度からX線により計測されたものであり、直接見ることはできませんが、検出器からコンピュータに送信され、コンピュータが体の2次元の断面のような画像(スライス画像)に変換します。(CTとは... さらに読む CT検査 MRI検査 MRI検査 MRI検査は、強い磁場と非常に周波数の高い電磁波を用いて極めて詳細な画像を描き出す検査です。X線を使用しないため、通常はとても安全です。( 画像検査の概要も参照のこと。) 患者が横になった可動式の台が装置の中を移動し、筒状の撮影装置の中に収まります。装置の内部は狭くなっていて、強い磁場が発生します。通常、体内の組織に含まれる陽子(原子の一部で正の電荷をもちます)は特定の配列をとっていませんが、MRI装置の中で発生するような強い磁場の中に... さらに読む MRI検査 、放射性物質を用いた骨シンチグラフィー、 PET検査 PET検査 PET(陽電子放出断層撮影)検査は 核医学検査の一種です。放射性核種とは放射線を出す元素のことで、エネルギーを放射線の形で放出することで、安定した状態になろうとする原子です。放射性核種の多くは高いエネルギーの光子をガンマ線の形で放出しますが、PET検査では陽電子と呼ばれる粒子を放出する放射性核種を使用します。 PET検査では、体内で使用(代謝)されるグルコース(ブドウ糖)や酸素などの物質を... さらに読む PET検査 などの画像検査が用いられることがあります。どの検査を用いるかは、がんの種類によって異なります。CT検査は脳や肺、および副腎、リンパ節、肝臓、脾臓といった腹部臓器など、体内の様々な部位のがんを検出するのに用いられます。MRI検査は脳、骨、脊髄のがんの検出に特に有用です。

病期診断の目的で腫瘍の存在を確認するために生検が必要になることが多く、また初回の がんの手術 がんの手術 手術は、がんに対して昔から用いられてきた治療法です。大半のがんでは、リンパ節や遠く離れた部位に転移する前に除去するには、手術が最も効果的です。手術のみを行う場合もあれば、 放射線療法や 化学療法などの治療法と併用する場合もあります( がん治療の原則も参照)。医師は以下の他の治療を行うことがあります。 手術前に腫瘍を小さくする治療(術前補助療法) 手術後にできるだけ多くのがん細胞が除去されるようにする治療(術後補助療法)... さらに読む 時に生検が一緒に行われることもあります。例えば、結腸がんを切除する開腹手術の際に、がんの転移がないか確認するために付近のリンパ節が摘出されることがあります。乳がんの手術中には、わきの下(腋窩[えきか])にあるリンパ節(がんが転移する可能性が高い最初のリンパ節で、センチネルリンパ節とも呼ばれます)が生検または摘出され、そこにがんが転移しているかどうかが判定されます。転移の証拠は、原発腫瘍の特徴とともに、医師がさらなる治療が必要かどうかを判断する役に立ちます。

初回の生検、身体診察、画像検査の結果のみに基づいて診断された病期は、臨床病期といいます。手術の結果または追加で行われた生検の結果から診断された病期は、病理学的病期または外科的病期といいます。臨床病期と病理学的(外科的)病期は異なる場合があります。

画像検査に加え、がんが肝臓や骨、腎臓を侵し始めているかどうかを確認するために血液検査が行われることがよくあります。

がんの悪性度

悪性度とは、がんが増殖したり広がったりする速さの尺度です。がんの悪性度は、医師が予後(経過の見通し)を判定するのに役立ちます。悪性度は、生検で採取した組織サンプルを調べることで判定されます。悪性度は、顕微鏡検査でがん細胞の見た目が異常に見える度合いに基づきます。細胞の見た目が異常なほど進行が速くなります。多くのがんについて、悪性度の評価尺度がつくられています。

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