変形と異栄養症という用語は、しばしば同じ意味で使われ、医師も同じ意味で使うことがありますが、その意味は少し異なります。
変形:爪の形状の変化
異栄養症:爪の質感か色またはその両方の変化
医師は変形よりも異栄養症という用語をよく使う傾向があります。(爪の病気の概要 爪の病気の概要 変形と異栄養症、 けが、感染症、 陥入爪など、爪に生じる病気はたくさんあります。感染症は爪のあらゆる部分に生じ、爪の外観を変えることもあれば、変えないこともあります。爪の感染症は、ほとんどが真菌感染症( 爪真菌症)ですが、細菌やウイルスによる感染症もあります。 爪は、爪甲(ケラチンというタンパク質でできた硬い部分)と周囲の構造から構成され... さらに読む も参照のこと。)
爪異栄養症の約50%は真菌感染症により起こります(爪真菌症 爪真菌症 爪真菌症とは、爪の真菌感染症のことです。 ( 爪の病気の概要も参照のこと。) 約10%の人が爪真菌症にかかっており、手指の爪よりも足の指の爪に多くみられます。高齢者(特に男性)、足の血行が悪い人(末梢動脈疾患[ フットケア])、糖尿病患者( 糖尿病でみられる足の問題)、免疫機能が低下している人(病気や薬剤による)、 みずむしや 爪異栄養症の人によくみられます。 爪真菌症はしばしば再発し、長期にわたる治療後に再発することもあります。... さらに読む )。その他の原因としては、 爪の損傷 手足の爪の損傷 手足の指の爪はけがによって損傷を受けることがあります。 手足の指の軽いけがでも、それにより爪に変化が起きることがあります。 爪床(爪甲の下にあって爪を指に接着している軟部組織)に重度の損傷、特に挫滅損傷が生じると、爪が変形したまま元に戻らない場合がよくあります。このリスクを減らすには、損傷を直ちに修復する必要があり、それには爪の除去が必要になります。 ( 爪の病気の概要も参照のこと。)... さらに読む 、 爪の先天異常 爪の先天異常 変形と異栄養症という用語は、しばしば同じ意味で使われ、医師も同じ意味で使うことがありますが、その意味は少し異なります。 変形:爪の形状の変化 異栄養症:爪の質感か色またはその両方の変化 医師は変形よりも異栄養症という用語をよく使う傾向があります。( 爪の病気の概要も参照のこと。) 爪異栄養症の約50%は真菌感染症により起こります(... さらに読む 、 乾癬 乾癬 乾癬(かんせん)は、1つまたは複数の盛り上がった赤い斑が生じる、再発を繰り返す慢性の病気で、それらの斑は銀白色の鱗屑(うろこ状のくず)を伴い、正常な皮膚との境界ははっきりしています。 免疫系の問題が関わっている可能性があり、遺伝的に乾癬を生じやすい人もいます。 特徴的な鱗屑または赤い斑が全身のあらゆる部分に様々な大きさで生じますが、特に肘、膝、頭皮によくみられます。 この病気の治療は、皮膚に塗る薬剤(外用薬)、紫外線照射(光線療法)、内... さらに読む 、 扁平苔癬 扁平苔癬 扁平苔癬(へんぺいたいせん)は、赤色または紫色の小さな隆起した発疹が現れる、かゆみを伴う再発性の病気で、最初に現れる発疹は1つずつ離れていますが、次第に複数が融合していき、ザラザラした鱗屑(うろこ状のくず)を伴う斑になります。 特定の薬剤や感染性微生物に対する反応が原因である可能性があります。 よくみられる症状として、体の様々な部分、ときには口腔内や性器に、赤や紫色の隆起からなるかゆみを伴う発疹が現れ、鱗屑(うろこ状のくず)を伴う斑にな... さらに読む 、ときに腫瘍(悪性と良性)など、様々なものがあります。薬剤、感染症、病気によって爪の色が変色することがあります(爪甲色素沈着)。例えば、シュードモナス(Pseudomonas)という細菌に感染すると、爪が緑色になることがあります(緑色爪症候群 緑色爪症候群 緑色爪症候群は、シュードモナスという細菌によって引き起こされる感染症です。 ( 爪の病気の概要も参照のこと。) 左側の写真には、第4指の爪甲剥離症を伴う緑色爪症候群が写っており、Pseudomonas属細菌が生産する色素によって爪甲が緑色に変色しています。右側の写真には、剥離した爪甲を除去した後の爪床が写っています。 緑色爪症候群は、シュードモナス属(... さらに読む )。
医師は、爪の診察によって、真菌を原因とする爪異栄養症の診断を下せることがよくあります。しかし、診断を確定するには、真菌を掻き出して培養検査(検査室で微生物を増殖させる方法)を行ったり、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査を行って真菌に由来する遺伝物質を探したりする必要がある場合もあります。
真菌以外の原因による爪異栄養症の診断を下すために、爪甲(爪の硬い部分)や爪母(爪の付け根にあり爪の成長が始まるところ)の生検を行うことがあります。
原因になっている病気を治療しても爪の外観がよくならない場合は、ネイリストに適切に切って磨いてもらうことで変形や異栄養症が目立たなくなる場合もあります。
爪の先天異常
ときに新生児が爪のない状態で産まれてくることがあります(無爪症)。 爪膝蓋骨症候群 爪膝蓋骨症候群 爪膝蓋骨(そうしつがいこつ)症候群は、腎臓、骨、関節、手足の爪に異常が生じる、まれな遺伝性疾患です。 爪膝蓋骨症候群は、腕や脚と腎臓の発育において重要な役割を担う遺伝子の突然変異によって起こります。 一般に、この症候群の患者は、左右の膝蓋骨(俗にいう「膝のお皿」の骨)の一方または両方が欠損し、橈骨(とうこつ)という腕の骨の片側が肘で脱臼していて、骨盤が異常な形をしています。 手足の爪がなかったり、あっても発達が不完全で、くぼんだり隆起し... さらに読む では、親指の爪がなかったり、小さくくぼみや筋が入っていたりする状態が生じます。ダリエ病では、爪に赤と白の筋が入り、爪の先端にV字のくぼみが生じます。先天性爪甲厚硬症では、爪床(爪が指に接着している部分)が厚くなって変色し、横方向に弯曲して 巻き爪 巻き爪 変形と異栄養症という用語は、しばしば同じ意味で使われ、医師も同じ意味で使うことがありますが、その意味は少し異なります。 変形:爪の形状の変化 異栄養症:爪の質感か色またはその両方の変化 医師は変形よりも異栄養症という用語をよく使う傾向があります。( 爪の病気の概要も参照のこと。) 爪異栄養症の約50%は真菌感染症により起こります(... さらに読む が生じます。
全身性疾患でみられる爪の変形と異栄養症
以下のように、他の臓器を侵す病気(全身性疾患)によって爪にも変化が生じることがあります。
鉄欠乏症 鉄欠乏症 鉄欠乏症は、 貧血、赤血球の数が少ない状態です。 鉄欠乏症は通常、成人では失血(月経による出血を含む)によって起こりますが、小児と妊婦では食事に含まれる鉄分の不足から起こることもあります。 貧血が生じ、肌が青白くなって筋力低下や疲労を感じるようになります。 診断は、症状と血液検査の結果に基づいて下されます。 医師は出血源を探し、見つけたら治療します。 さらに読む では、爪がスプーン状に変形することがあります(匙状爪)。この変形は、特に プラマー-ビンソン症候群 食道ウェブ 食道ウェブは、食道の上部に形成された薄い膜で、 嚥下困難を引き起こすことがあります。 ( 食道閉塞の概要も参照のこと。) 食道は、のど(咽頭)と胃をつないでいる管状の臓器管です。 食道ウェブはまれにしか起こりませんが、重度の 鉄欠乏性貧血を治療しなかった人で最も多く起こります。貧血に食道ウェブが合併する理由は不明です。上部食道にウェブがあると、通常は固形物が飲み込みにくくなります。... さらに読む に特徴的なものです。
腎不全 腎不全の概要 この章には、 COVID-19および急性腎障害(AKI)に関する新しいセクションが含まれています。 腎不全とは、血液をろ過して老廃物を取り除く腎臓の機能が十分に働かなくなった状態のことです。 腎不全の原因としては、様々なものが考えられます。腎機能が急激に低下する場合( 急性腎障害、急性腎不全とも呼ばれます)もあれば、ゆっくりと低下していく... さらに読む により、爪の付け根側の半分が白く、先端側の半分がピンク色になったり色素が沈着したように見えたりすることがあります(ハーフアンドハーフネイルまたはリンジー爪)。この異栄養症は健康な人にも起こります。
肝硬変 肝硬変 肝硬変は、機能を果たさない瘢痕組織が大量の正常な肝組織と永久に置き換わり、肝臓の内部構造に広範な歪みが生じることです。肝臓が繰り返しまたは継続的に損傷を受けると、瘢痕組織が生じます。肝硬変はかつては不可逆的と考えられていましたが、最近の科学的証拠から一部の症例では可逆的であることが示唆されています。 肝硬変の最も一般的な原因は、慢性的な アルコール乱用、 慢性ウイルス性肝炎、... さらに読む によって爪が白くなることがあります。ただし、最も先端の部分は変色せずピンク色のままです。強く白色化した爪は、テリー爪とも呼ばれ、肝硬変の患者だけでなく、慢性心不全や糖尿病の患者にもみられます。肝硬変患者で起こるような、アルブミンと呼ばれるタンパク質の血中濃度低下が起きると、爪に横方向の白い筋が現れることがあります。テリー爪は、正常な老化現象として起こることもあります。
一部の肺疾患、しばしば リンパ浮腫 リンパ浮腫 リンパ浮腫とは、リンパ液が組織の中にたまった結果、むくみが生じたものです。 リンパ管が損傷または閉塞すると、リンパ液は流れることができずに組織内に貯留するため、腫れがもたらされます。 圧迫包帯や空気弾性ストッキングを使用して、むくみを軽減することができます。 ( リンパ系の概要も参照のこと。) リンパ節は、豆のような形をした非常に小さな器官で、リンパ液をろ過しています。リンパ節は全身に分布していますが、特に首すじ、わきの下、鼠径部の皮膚... さらに読む (リンパ液が組織中に蓄積する病態)を伴うものは、黄色爪症候群を引き起こすことがありますが、この症候群では爪が肥厚して弯曲が強くなり、黄色または黄緑色に変色します。
ボー線は爪に横方向に入る溝で、爪の成長が一時的に遅くなった場合に現れます。ときに、それらの溝が爪の厚さまで深くなり、爪が完全になくなってしまうこともあります。感染症、けが、全身性疾患、または化学療法の後に生じることがあります。
けがの後に、横方向の白い筋が爪の一部(爪甲白斑)に現れることがあります。しかし、爪の全長にわたって横方向に入るすじ(ミーズ線)には、がんや心不全などのより重篤な病気、化学療法、あるいはヒ素、タリウム、その他の重金属など特定の毒性物質に対する曝露が関連していることがあります。そうした毒性物質への曝露がなくなるか、化学療法を中止すれば、爪は正常に伸びることができます。
皮膚の病気でみられる爪の変形と異栄養症
ときに、皮膚の病気によって爪が侵され、爪の外観に変化が起きることがあります。皮膚の病気の治療に使用される薬にも爪甲の変化を引き起こすものがあります。例えば、イソトレチノインやエトレチナートなどのレチノイドという種類の薬は、爪を乾燥させてもろくすることがあります。
乾癬 乾癬 乾癬(かんせん)は、1つまたは複数の盛り上がった赤い斑が生じる、再発を繰り返す慢性の病気で、それらの斑は銀白色の鱗屑(うろこ状のくず)を伴い、正常な皮膚との境界ははっきりしています。 免疫系の問題が関わっている可能性があり、遺伝的に乾癬を生じやすい人もいます。 特徴的な鱗屑または赤い斑が全身のあらゆる部分に様々な大きさで生じますが、特に肘、膝、頭皮によくみられます。 この病気の治療は、皮膚に塗る薬剤(外用薬)、紫外線照射(光線療法)、内... さらに読む (かんせん)では、爪に不規則な穴(爪の表面の小さなくぼみ)が生じたり、オイルスポット(爪の下にできる黄褐色の斑点)が生じたり、爪甲が爪床から剥がれたり(爪甲剥離症)、爪甲が厚くなってくずれたりします。
爪母の 扁平苔癬 扁平苔癬 扁平苔癬(へんぺいたいせん)は、赤色または紫色の小さな隆起した発疹が現れる、かゆみを伴う再発性の病気で、最初に現れる発疹は1つずつ離れていますが、次第に複数が融合していき、ザラザラした鱗屑(うろこ状のくず)を伴う斑になります。 特定の薬剤や感染性微生物に対する反応が原因である可能性があります。 よくみられる症状として、体の様々な部分、ときには口腔内や性器に、赤や紫色の隆起からなるかゆみを伴う発疹が現れ、鱗屑(うろこ状のくず)を伴う斑にな... さらに読む (たいせん)では、瘢痕(はんこん)が生じ、早期には爪が隆起して割れますが、後には瘢痕と翼状爪が生じます。翼状爪では、扁平苔癬が原因となり、爪の付け根から外側に向かってV字型に瘢痕が形成され、やがて爪が失われます。
円形脱毛症、扁平苔癬、 アトピー性皮膚炎 アトピー性皮膚炎(湿疹) アトピー性皮膚炎(一般には湿疹と呼ばれます)とは、皮膚の上層に生じる、かゆみを伴う慢性的な炎症です。花粉症や喘息のある人、また家族にそのような病気の人がいる人にみられることの多い病気です。 アトピー性皮膚炎は非常によくみられるもので、特に高所得国やアレルギーを起こしやすい人で多くみられます。 乳児では、じくじくしてかさぶたを伴う赤い発疹が、顔面、頭皮、手、腕、足、脚にできる傾向があります。... さらに読む 、乾癬の人では、粗造爪(複数の溝があり、表面が粗く、色の濁った、紙やすりのような外観の爪)が生じることがあります。粗造爪は小児で最もよくみられます。
薬剤が爪に与える影響
薬剤が、爪甲色素線条(色素の沈着によりできた褐色または黒色の線)や爪甲剥離症などの他の爪の症状の原因になることがあります。様々な薬剤が爪の変色を引き起こしますが、多くの場合、その薬剤を中止し、爪が生え変わるとよくなります。
化学療法薬により爪甲が黒ずむ(色素沈着)ことがあります。ある種の化学療法薬による治療を受けている人では、横方向に帯状に、色素が沈着したり、白くなることもあります。
寄生虫感染症やある種の自己免疫疾患の治療に使用される薬剤のクロロキンでは、爪床が青黒くなることがあります。
銀の職業曝露を受けたり、コロイド状のプロテイン銀を含有する栄養補助食品を摂取することによって、爪が濃い青灰色になることがあります。
関節リウマチの治療でまれに使われる金を含む薬剤により、爪が明褐色や暗褐色に変色することがあります。
テトラサイクリン系抗菌薬、ケトコナゾール、スルホンアミド系抗菌薬、フェニンジオン(phenindione)、フェノチアジン系薬剤により、青色や褐色に変色することがあります。
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症とは、ある種の白血球を次第に破壊し、後天性免疫不全症候群(エイズ)を引き起こすことのあるウイルス感染症です。 HIVは、ウイルスやウイルスに感染した細胞を含む体液(血液、精液、腟分泌液)と濃厚に接触することで感染します。 HIVはある種の白血球を破壊し、感染症やがんに対する体の防御機能を低下させます。... さらに読む の治療薬であるジドブジン(ZDV)により黒褐色の縦筋が入ることがあります。しかし、このような筋はジドブジンを服用していないエイズ患者でも現れることがあります。
ヒ素中毒により、爪に白い横筋が入ったり、爪が褐色になったりすることがあります。
正中爪変形
正中爪変形(median nail dystrophy)では、爪の中心部の小さな亀裂が側方に伸び、やがて常緑樹の枝(クリスマスツリーなど)のように見えるようになります。正中爪変形の原因は、不明の場合もありますが、コンピュータのキーボードや同様の器具を頻繁に使用するなどで、繰り返し起こる損傷が原因であると考えられています。患者は爪が損傷しないよう対策をする必要があります。タクロリムス軟膏による治療が助けになった症例が報告されています。
爪甲色素線条
爪甲色素線条とは、皮膚にある正常な褐色の色素であるメラニンが沈着することで爪甲に出現する、灰色、褐色、または黒色の線のことです。この線は爪の付け根から先端まで伸びます。皮膚の色が濃い人では、このような線が現れても異常ではなく、治療が不要な場合もあります。爪甲色素線条の他の原因でがんではないものとして、 ほくろ ほくろ ほくろは、皮膚にできる小さな増殖物で、通常は濃い色をしており、皮膚の色素を作る細胞(メラノサイト)から生じます。 ほくろはほとんどの人にみられますが、異型母斑のできやすさは遺伝による場合があります。 大きく変化するほくろや異型母斑は生検を行い、黒色腫かどうかを調べる必要があります。 がんではない(良性の)ほくろの大半は治療が不要ですが、不快なほくろや美容上の問題となるほくろはメスと局所麻酔により切除することができます。... さらに読む 、 HIV感染症 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症とは、ある種の白血球を次第に破壊し、後天性免疫不全症候群(エイズ)を引き起こすことのあるウイルス感染症です。 HIVは、ウイルスやウイルスに感染した細胞を含む体液(血液、精液、腟分泌液)と濃厚に接触することで感染します。 HIVはある種の白血球を破壊し、感染症やがんに対する体の防御機能を低下させます。... さらに読む 、 甲状腺機能亢進症 甲状腺機能亢進症 甲状腺機能亢進症は甲状腺が働きすぎている状態で、甲状腺ホルモンの値が高く、身体の重要な機能が働く速度が上昇します。 バセドウ病は甲状腺機能亢進症の原因として最もよくみられます。 心拍数と血圧の上昇、不整脈、過剰な発汗、神経質や不安、睡眠障害、意図しない体重減少、排便回数の増加などの症状がみられます。 診断は血液検査により確定されます。 甲状腺機能亢進症の管理には、チアマゾールまたはプロピルチオウラシルが用いられます。 さらに読む 、特定の薬剤の使用、妊娠、 爪の損傷 手足の爪の損傷 手足の指の爪はけがによって損傷を受けることがあります。 手足の指の軽いけがでも、それにより爪に変化が起きることがあります。 爪床(爪甲の下にあって爪を指に接着している軟部組織)に重度の損傷、特に挫滅損傷が生じると、爪が変形したまま元に戻らない場合がよくあります。このリスクを減らすには、損傷を直ちに修復する必要があり、それには爪の除去が必要になります。 ( 爪の病気の概要も参照のこと。)... さらに読む 、 アジソン病 副腎皮質機能低下症 副腎皮質機能低下症では、副腎で副腎ホルモンが十分につくられなくなります。 副腎皮質機能低下症は、副腎や下垂体の病気が原因である場合や、特定の薬により引き起こされることがあります。 副腎皮質機能低下症の原因には、自己免疫反応、がん、感染症、その他の病気などがあります。 副腎皮質機能低下症の人は、脱力感や疲労感が生じ、座ったり横になったりした姿勢から立ち上がるとめまいを起こすほか、皮膚の黒ずみがみられる場合もあります。... さらに読む 、 クッシング症候群 クッシング症候群 クッシング症候群は、コルチコステロイドが過剰な状態であり、通常はコルチコステロイドの使用または副腎による過剰生産によるものです。 通常、クッシング症候群の原因は、ある病気の治療のためのコルチコステロイドの使用、または副腎でのコルチコステロイドの過剰生産を引き起こす下垂体や副腎の腫瘍です。 クッシング症候群はまた、その他の部位(肺など)に腫瘍がある場合に起こることもあります。 クッシング症候群の人は、体幹の周りに過剰な脂肪がつき、顔が丸く... さらに読む などがあります。
しかし、爪の中や周囲にみられる同様の黒っぽい線や変色はがんの初期徴候の場合があり、特に、爪が作られている組織(爪母)の色素細胞から発生する 黒色腫 黒色腫 黒色腫(メラノーマとも呼ばれます)は、色素を作り出す皮膚細胞(メラノサイト)から発生する皮膚がんです。 黒色腫は、正常な皮膚から発生する場合もあれば、すでにあった ほくろから発生する場合があります。 皮膚に様々な色の斑点を伴う平坦または隆起した褐色の不規則な皮疹、あるいは黒または灰色の硬い隆起が現れます。 黒色腫の診断を下すには、生検を行います。 黒色腫を切除します。 さらに読む でみられます。変色にがんの可能性があると懸念される場合は、通常は爪母の生検を行います。
爪甲剥離症
爪甲剥離症とは、爪甲が爪床から部分的に剥がれた状態または爪甲が完全に失われた状態をいいます。原因としては以下のものがあります。
損傷(足に合わない履き物での長時間のハイキングやスキーによる場合など)
爪の清掃のしすぎ
乾癬 乾癬 乾癬(かんせん)は、1つまたは複数の盛り上がった赤い斑が生じる、再発を繰り返す慢性の病気で、それらの斑は銀白色の鱗屑(うろこ状のくず)を伴い、正常な皮膚との境界ははっきりしています。 免疫系の問題が関わっている可能性があり、遺伝的に乾癬を生じやすい人もいます。 特徴的な鱗屑または赤い斑が全身のあらゆる部分に様々な大きさで生じますが、特に肘、膝、頭皮によくみられます。 この病気の治療は、皮膚に塗る薬剤(外用薬)、紫外線照射(光線療法)、内... さらに読む や 甲状腺中毒症 甲状腺機能亢進症 甲状腺機能亢進症は甲状腺が働きすぎている状態で、甲状腺ホルモンの値が高く、身体の重要な機能が働く速度が上昇します。 バセドウ病は甲状腺機能亢進症の原因として最もよくみられます。 心拍数と血圧の上昇、不整脈、過剰な発汗、神経質や不安、睡眠障害、意図しない体重減少、排便回数の増加などの症状がみられます。 診断は血液検査により確定されます。 甲状腺機能亢進症の管理には、チアマゾールまたはプロピルチオウラシルが用いられます。 さらに読む
水、柑橘類、特定の化学物質(洗浄剤に含まれる物質など)への頻繁な曝露
ドキソルビシン、カプトプリル、プラクトロール、フルオロウラシル、レチノイドによる治療
ドキシサイクリン、ソラレン系、フルオロキノロン系などの他の薬剤も、爪が日光にさらされた後に爪甲剥離症を引き起こすことがあります(光線性爪甲剥離症)。
爪甲剥離症の人では、真菌感染症の発生リスクが高くなります。爪を乾燥した状態に保ち、爪に抗真菌薬を塗ることが有用です。
巻き爪
巻き爪では、爪の水平(横方向)の弯曲が強くなります。最も一般的な原因は、真菌感染症(爪真菌症 爪真菌症 爪真菌症とは、爪の真菌感染症のことです。 ( 爪の病気の概要も参照のこと。) 約10%の人が爪真菌症にかかっており、手指の爪よりも足の指の爪に多くみられます。高齢者(特に男性)、足の血行が悪い人(末梢動脈疾患[ フットケア])、糖尿病患者( 糖尿病でみられる足の問題)、免疫機能が低下している人(病気や薬剤による)、 みずむしや 爪異栄養症の人によくみられます。 爪真菌症はしばしば再発し、長期にわたる治療後に再発することもあります。... さらに読む )、 乾癬 乾癬 乾癬(かんせん)は、1つまたは複数の盛り上がった赤い斑が生じる、再発を繰り返す慢性の病気で、それらの斑は銀白色の鱗屑(うろこ状のくず)を伴い、正常な皮膚との境界ははっきりしています。 免疫系の問題が関わっている可能性があり、遺伝的に乾癬を生じやすい人もいます。 特徴的な鱗屑または赤い斑が全身のあらゆる部分に様々な大きさで生じますが、特に肘、膝、頭皮によくみられます。 この病気の治療は、皮膚に塗る薬剤(外用薬)、紫外線照射(光線療法)、内... さらに読む 、 爪の腫瘍 爪の腫瘍 良性および悪性の腫瘍が爪に影響を及ぼして、爪の質感や色の変化( 異栄養症)を引き起こすことがあります。それらの多くは、爪ではなく爪周囲の組織に発生する腫瘍です。 良性腫瘍としては、粘液様嚢胞(液体で満たされた袋状の良性病変)、 化膿性肉芽腫、グロムス腫瘍などがあります。 悪性腫瘍としては、 ボーエン病(早期の皮膚がん)、 有棘細胞がん、 悪性黒色腫などがあります。がんが疑われる場合は、生検を行い、腫瘍をできるだけ早期に完全に切除すること... さらに読む 、足に合わない靴です。この変形は 全身性エリテマトーデス 全身性エリテマトーデス(SLE) 全身性エリテマトーデスは、関節、腎臓、皮膚、粘膜、血管の壁に起こる慢性かつ 炎症性の自己免疫結合組織疾患です。 関節、神経系、血液、皮膚、腎臓、消化管、肺、その他の組織や臓器に問題が発生します。 診断を下すため、血液検査のほか、ときにその他の検査を行います。 全身性エリテマトーデスの全患者でヒドロキシクロロキンが必要であり、損傷を引き起こし続けている全身性エリテマトーデス(活動性の全身性エリテマトーデス)の患者には、コルチコステロイドな... さらに読む 、 川崎病 川崎病 川崎病は全身の血管に炎症が起こる病気です。 川崎病の原因は不明ですが、感染症と関連があると考えられています。 典型的な症状は、発熱、発疹、イチゴ舌のほか、ときに心臓の合併症がみられることもあり、これによりまれに死に至ることがあります。 診断は診断基準に基づいて下されます。 迅速な治療を行えば、ほぼすべての患児が回復します。 さらに読む 、末期腎不全(重度の 慢性腎臓病 慢性腎臓病 慢性腎臓病では、血液をろ過して老廃物を除去する腎臓の能力が、数カ月から数年かけて徐々に低下します。 主な原因は糖尿病と高血圧です。 血液の酸性度が高くなり、貧血が起き、神経が傷つき、骨の組織が劣化し、動脈硬化のリスクが高くなります。 症状としては、夜間の排尿、疲労、吐き気、かゆみ、筋肉のひきつりやけいれん、食欲不振、錯乱、呼吸困難、体のむくみ(主に脚)などがあります。 診断は血液検査と尿検査によって下されます。 さらに読む )、一部の遺伝性症候群(先天性爪甲厚硬症など)の患者にもみられます。ときに高齢者や指に関節炎がある人にもみられます。多くの場合、爪甲が弯曲して指の先に食い込む部分が痛みます。