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副鼻腔がん

執筆者:

Bradley A. Schiff

, MD, Montefiore Medical Center, The University Hospital of Albert Einstein College of Medicine

レビュー/改訂 2022年 12月
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やさしくわかる病気事典
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副鼻腔がんは、副鼻腔に発生するがんで、通常は上顎洞(じょうがくどう)と篩骨洞(しこつどう)に発生します。

副鼻腔がんは米国ではまれですが、日本人や南アフリカのバンツー族には多い病気です。このがんの原因は明らかではありませんが、喫煙者や、ある種の木材や金属の微細な粉(粉塵)を日常的に吸い込んでいる人に多くみられます。 ヒトパピローマウイルス(HPV) ヒトパピローマウイルス感染症(HPV感染症) ヒトパピローマウイルス(HPV)は、いぼの原因になります。HPVの中には皮膚にいぼを作り出すものもあれば、性器のいぼ(腟、陰茎、または直腸の内部や周囲に生じるできもので、尖圭コンジローマと呼ばれます)の原因になるものもあります。一部の種類のHPVに感染すると、がんになることもあります。HPVは性感染症です。 ヒトパピローマウイルス(HPV)の種類が違えば、引き起こされる感染症も異なります。例えば、性器にできる、目で見て確認しやすいいぼも... さらに読む ヒトパピローマウイルス感染症(HPV感染症) エプスタイン-バー(EB)ウイルス 伝染性単核球症 エプスタイン-バーウイルスは、伝染性単核球症をはじめ、いくつかの病気を引き起こします。 この ウイルスはキスを介して広がります。 症状は様々ですが、最も多いのは極度の疲労感、発熱、のどの痛み、リンパ節の腫れです。 血液検査を行って診断を確定します。 アセトアミノフェンや非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)は発熱と痛みを和らげます。 さらに読む 伝染性単核球症 が関与していることもあります。慢性副鼻腔炎がこのがんの原因となるとは考えられていません。

副鼻腔ふくびくう位置いち

副鼻腔ふくびくうの位置いち

副鼻腔がんの症状

副鼻腔がんの症状は、がんが近くの構造を圧迫すると現れ、具体的には以下のものがあります。

  • 痛み

  • 鼻がつまった感覚

  • 複視

  • 鼻出血

  • 耳の痛みや耳閉感(耳が詰まった感じ)

  • 顔面のしびれまたはピリピリ感

  • がんのある副鼻腔の下にある、上の歯のゆるみ

副鼻腔には早期のがんが近くの構造を圧迫することなく大きくなれるだけの空間があるため、ほとんどの人ではがんがかなり進行するまで症状が出ません。

副鼻腔がんの診断

  • 画像検査

  • 生検

腫瘍の位置を割り出し、その大きさを確認するために画像検査(一般的には CT検査 CT検査 CT検査(以前はCAT検査とよばれていました)では、X線源とX線検出器が患者の周りを回転します。最近の装置では、X線検出器は4~64列あるいはそれ以上配置されていて、それらが体を通過したX線を記録します。検出器によって記録されたデータは、患者の全周の様々な角度からX線により計測されたものであり、直接見ることはできませんが、検出器からコンピュータに送信され、コンピュータが体の2次元の断面のような画像(スライス画像)に変換します。(CTとは... さらに読む CT検査 および MRI検査 MRI検査 MRI検査は、強い磁場と非常に周波数の高い電磁波を用いて極めて詳細な画像を描き出す検査です。X線を使用しないため、通常はとても安全です。( 画像検査の概要も参照のこと。) 患者が横になった可動式の台が装置の中を移動し、筒状の撮影装置の中に収まります。装置の内部は狭くなっていて、強い磁場が発生します。通常、体内の組織に含まれる陽子(原子の一部で正の電荷をもちます)は特定の配列をとっていませんが、MRI装置の中で発生するような強い磁場の中に... さらに読む MRI検査 )が行われます。がんであることを確定するために、組織の一部を採取して顕微鏡で調べる検査(生検)が行われます。腫瘍の観察や生検、ときに切除のために、内視鏡(観察用の柔軟な細い管状の機器)が使用されます。

副鼻腔がんの予後(経過の見通し)

治療開始が早いほど、副鼻腔がんの予後(経過の見通し)は良好です。しかし、生存率は一般的によくありません。全体として、副鼻腔がんの患者のうち5年以上生存するのは約60%です。

副鼻腔がんの治療

  • 手術

  • 放射線療法

  • 化学療法

副鼻腔がんの治療では 手術 がんの手術 手術は、がんに対して昔から用いられてきた治療法です。大半のがんでは、リンパ節や遠く離れた部位に転移する前に除去するには、手術が最も効果的です。手術のみを行う場合もあれば、 放射線療法や 化学療法などの治療法と併用する場合もあります( がん治療の原則も参照)。医師は以下の他の治療を行うことがあります。 手術前に腫瘍を小さくする治療(術前補助療法) 手術後にできるだけ多くのがん細胞が除去されるようにする治療(術後補助療法)... さらに読む 放射線療法 がんに対する放射線療法 放射線は、コバルトなどの放射性物質や、粒子加速器(リニアック)などの特殊な装置から発生する強いエネルギーの一種です。 放射線は、急速に分裂している細胞や DNAの修復に困難がある細胞を優先的に破壊します。がん細胞は正常な細胞より頻繁に分裂し、多くの場合、放射線によって受けた損傷を修復することができません。そのため、がん細胞はほとんどの正常な細胞よりも放射線で破壊されやすい細胞です。ただし、放射線による破壊されやすさはがん細胞によって異な... さらに読む が併用されます。最近は手術技術が進歩したため、一部の腫瘍は鼻を介して内視鏡で完全に切除することが可能になっています。これにより、がんに侵されていない顔の部分(眼など)が温存できるため、手術後の容貌と機能が改善します。手術の後に腫瘍が再発する可能性が高い場合は放射線療法が行われます。手術を行ったとしても効果がない場合や、特定の腫瘍に対して手術が難しすぎる場合は、放射線療法または 化学療法 化学療法とがんに対する他の全身療法 全身療法とは、がんに対して直接行うのではなく、身体全体に影響を及ぼす治療法です。化学療法は全身療法の一種であり、薬物を用いてがん細胞を死滅させるか、または増殖を阻止します。 がんの全身療法には次のようなものがあります。 ホルモン療法 化学療法(抗がん剤) 分子標的療法 さらに読む を初期治療として行うこともあります。

さらなる情報

以下の英語の資料が役に立つかもしれません。こちらの情報源の内容について、MSDマニュアルでは責任を負いませんのでご了承ください。

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