クロムとは何ですか?
クロム(より具体的には、3価クロム)は体に少量だけ必要なミネラルです。クロムによりインスリンが機能するようになります。
ほとんどの人は食物から十分なクロムを摂取しています。
全粒粉製品にはクロムが豊富に含まれ、また、ニンジン、ジャガイモ、ブロッコリー、糖蜜にも豊富に含まれています。
ピコリン酸はクロムの効果的な吸収に役立つと考えられているため、サプリメントでは、たいていクロムと組み合わされます(ピコリン酸クロム)。
クロムは体内で化合物を形成し、それがインスリンの作用を高めて血糖値を下げるようです。
いくつかの試験では、1日最大1,000μgのクロム投与が安全であることが示されています。
クロムについてどのような効能が主張されていますか?
クロムは クロム欠乏症 クロム欠乏症 クロム欠乏症は先進国ではまれで、 静脈からの栄養補給(完全静脈栄養)を長期間使用した場合に生じることがあります。 クロムは、血糖値を調節するインスリンを機能できるようにし、炭水化物、タンパク質、脂肪の処理(代謝)や貯蔵に役立ちます。しかし、クロムを必須の微量元素とみなすべきかどうかははっきりしていません。クロムのサプリメントが 糖尿病患者にとって有用かどうかについては、まだ明らかになっていません。糖尿病の患者は、糖尿病の専門医の指導がな... さらに読む の治療に使用されます。ピコリン酸クロムについていわれていることには、以下のものがあります。
減量を促進する
筋肉をつける
体脂肪を減らす
いわゆる悪玉である低比重リポタンパク質(LDL)コレステロールを減少させ、善玉である高比重リポタンパク質(HDL)コレステロール増加させる
ピコリン酸クロムは、糖尿病、高コレステロールのほか、嚢胞を伴って卵巣が腫大する内分泌疾患(多嚢胞性卵巣症候群[PCOS])、その他の多くの疾患に使用されますが、その使用の多くについて、それを裏付ける良好な科学的根拠はありません。
クロムには効果がありますか?
クロムが欠乏するとインスリンが機能しなくなりますが、サプリメントの摂取により、血糖値がわずかに変化すること以外では、糖尿病の人に役立つことは示されていません。
減量に役立つという科学的根拠がありますが、効果は小さいとされています。注目すべきは、過体重または肥満の成人を対象としたピコリン酸クロムの ランダム化比較試験 臨床試験の種類 人々は医師に対して、効果のある治療法を選択し、効果のない治療は中止するように期待します。しかし、どの治療法が有効か見分けることは、医師や研究者にも困難であることが往々にしてあります。その判断を下すことが 医学の役割の1つであり、具体的には、臨床試験において治療法の効果を検討することで達成されるのが通常です。 臨床試験とは、ある介入(治療や検査など)が安全かつ有効かどうかを明らかにし、その介入の潜在的なベネフィットがリスクを上回っているこ... さらに読む の1つのレビューにおいて、わずかではありますが有意な体重減少が認められたことです。しかしながら、研究者らはクロムの使用を裏付ける全体的な科学的根拠はないと述べました。ピコリン酸クロムが身体組成やコレステロールと中性脂肪(トリグリセリド)値に有益であるという科学的根拠もありません。
クロムの起こりうる副作用にはどのようなものがありますか?
クロムのサプリメントは鉄の吸収を低下させることがあります。クロムの種類によっては、胃の不快感や潰瘍を引き起こすことがあります。まれに、腎臓や肝臓の損傷が報告されているため、腎臓や肝臓の病気がある人はクロムを摂取してはいけません。
クロムが染色体損傷を引き起こし、その結果、有害な影響や場合によってはがんを引き起こしうることを示す科学的根拠もあります。
クロムの最大安全量は分かっていません。しかし、いくつかの試験では、1日最大1,000μgのクロム投与が安全であることが示されています。
クロムにはどのような薬物相互作用がありますか?
クロムは血糖値を低下させる傾向があると考えられますが(特にインスリンまたはメトホルミンと併用した場合)、この薬剤の組合せも他のものも証明されていません。
推奨事項
血糖値や体重がわずかに減少する可能性があるものの、クロムのサプリメントとしての使用は推奨されません。米国糖尿病協会は、血糖値を下げることを目的としたその使用を推奨していません。
クロムのサプリメントは通常、1日最大1000μgの用量で安全ですが、有害な副作用のわずかなリスクを相殺する便益はほとんどないようです。
腎疾患または肝疾患の人や鉄欠乏症の人はクロムのサプリメントを使用してはいけません。