頸管粘液の異常に伴う不妊症

頸管粘液に異常があると精子の子宮への進入が妨げられることがありますが、この問題が不妊症の主な原因となることはまれです。

• 頸管粘液の異常は通常、不妊症の主な原因となりませんが、子宮頸部の感染症または子宮頸管に瘢痕組織がある女性（子宮頸管狭窄症）では一因となることがあります。

• 医師が内診を行い、感染症がないか、瘢痕組織により子宮頸管が狭くなっていたり閉塞していないか調べます。

• 感染症や瘢痕組織がある場合には、それを治療します。

（不妊症の概要も参照のこと。）

頸管粘液は子宮頸部（子宮の下部で腟につながっている部分）の腺から分泌されます。通常、粘液は濃く排卵前までは精子は通れません。排卵直前になると、ホルモンのエストロゲンの血中濃度が上昇することで、この粘液が透明でよく伸びるようになります。すると精子は粘液を通過し、子宮を通って受精が起こる卵管へと入っていけるようになります。

妊娠を予防するため、または妊娠を試みるためにリズム法による避妊を用いる女性もいます。この方法には、排卵が起こる時期を検出するための頸管粘液の毎日のチェックが含まれます。

粘液に異常があると、以下のような問題につながります。

• 排卵時に正常であれば起こる変化がみられないため、妊娠の可能性が低くなる

• 腟内の細菌、通常は子宮頸部の感染症（子宮頸管炎）の原因菌が子宮に侵入できるようになり、精子を破壊することがある

• 粘液に精子に対する抗体が含まれている場合には、精子が卵子に到達する前に死んでしまう（この問題はまれ）

しかし、女性に慢性の子宮頸部の感染症がある場合、または瘢痕組織のために子宮頸管が狭くなっていたり閉塞している場合（子宮頸管狭窄症と呼ばれます）を除き、頸管粘液の問題により妊よう性が著しく損なわれるのはまれです。（子宮頸管は子宮頸部の通路であり、そこを通って精子が侵入し、月経血が流出します。）瘢痕組織は通常、子宮頸部の前がん状態（子宮頸部異形成）の治療などの外科的処置によって生じます。