急性腎障害は,数日間から数週間で腎機能が急速に低下する病態であり,これにより血中に窒素化合物が蓄積する(高窒素血症)。原因は重度の外傷,疾患,または手術である場合が多いが,ときに急速進行性の内因性の腎疾患に起因する場合もある。症状には食欲不振,悪心,嘔吐などがある。無治療の場合,痙攣発作や昏睡を来すこともある。水・電解質および酸塩基平衡の障害が急速に発生する。診断は血清クレアチニン値などの腎機能検査に基づく。原因を特定するには,尿指標および尿沈渣検査のほか,しばしば画像検査やその他の検査が必要となる。治療は原因に向けられるが,水分と電解質の管理およびときに透析を行うこともある。
尿細管系では,電解質,水素イオン,HCO 3 分子,自由水など,多くの物質が分泌または再吸収される。これらのプロセスに機能障害が起こると,臨床症候群が発生する可能性がある。症候群は遺伝性,後天性,またはその両方に該当する。ほぼ常に小児期に発症する症候群(例,バーター症候群,ギテルマン症候群,シスチン尿症,ハートナップ病,低リン血症性くる病)は 腎輸送の先天異常 である。
腎代替療法(RRT)は,腎不全患者において内分泌機能以外の腎機能を代替する治療法であり,ときに特定の中毒にも用いられる。RRTの方法としては,間欠的血液透析,持続的血液濾過および血液透析,腹膜透析などがある。いずれの方法でも,透過膜を介した透析および濾過によって溶質を交換し,血液から水分を除去する。
男性の性発達とホルモン機能は,中枢神経系によって調節される視床下部‐下垂体‐精巣系が介在する複雑なフィードバック回路に依存している。男性性機能障害( 男性の性機能障害 )は,性腺機能低下症,神経血管疾患,薬剤,その他多くの疾患に続発することがある。
尿細管間質性疾患は,尿細管および間質の損傷を共通の特徴とする臨床的に不均一な疾患群である。罹病期間の長い重症例では,腎全体が侵され,糸球体機能障害を来したり,腎不全に至る場合さえある。尿細管間質性疾患の主なものは,急性尿細管壊死と急性または慢性尿細管間質性腎炎である。
尿路感染症(UTI)は,腎臓(腎盂腎炎)が侵される上部尿路感染症と,膀胱(膀胱炎),尿道(尿道炎),および前立腺(前立腺炎)が侵される下部尿路感染症に分類される。しかしながら,実際には(特に小児では)感染部位の鑑別が困難または不可能な場合もある。さらに,感染はしばしば1つの領域から別の領域へと拡大する。尿道炎と前立腺炎も尿路が侵される感染症であるが,通常,UTIという用語は腎盂腎炎と膀胱炎を指す。
尿路結石とは,泌尿器系内に存在する固形の粒子のことである。結石は疼痛,悪心,嘔吐,および血尿を引き起こすことがあるほか,続発性の感染から悪寒および発熱がみられることもある。診断は尿検査および放射線学的検査のほか,通常は単純ヘリカルCTに基づく。治療は鎮痛薬,感染に対する抗菌薬療法,および薬剤による排石促進療法のほか,ときに衝撃波砕石術または内視鏡手技による。
嚢胞性腎疾患には,先天性のものと後天性のものがある。先天性のものは,常染色体優性または常染色体劣性遺伝疾患として遺伝する場合と,他の原因(例,散発性の遺伝子変異,染色体異常,催奇形因子)を有する場合がある。奇形症候群( 嚢胞性腎疾患の分類 )の部分症として生じる場合もある。
閉塞性尿路疾患は,構造的または機能的異常により正常な尿流が妨げられる病態であり,ときに腎機能障害(閉塞性腎症)につながることもある。症状としては,慢性閉塞では出現する可能性がより低いが,T11からT12までの皮膚分節に放散する疼痛や排尿異常(例,排尿困難,無尿,夜間頻尿,多尿)などが出現することがある。診断は閉塞のレベルに応じて,膀胱カテーテル挿入,膀胱尿道鏡検査,および画像検査(例,超音波検査,CT,腎盂造影)の結果に基づく。治療は原因によって異なり,迅速なドレナージ,器具操作,手術(例,内視鏡法,砕石術),ホルモン療法,またはこれらの併用が必要となる。
慢性腎臓病(CKD)とは,腎機能が長期にわたり進行性に悪化する病態である。症状は緩徐に現れ,具体的には食欲不振,悪心,嘔吐,口内炎,味覚異常,夜間頻尿,倦怠感,疲労,そう痒,精神的集中力の低下,筋収縮,筋痙攣,水分貯留,低栄養,末梢神経障害,痙攣発作などがみられる。診断は腎機能検査に基づき,ときに続いて腎生検を施行する。治療は主に基礎疾患に対して行うが,水・電解質バランスの管理と貧血に対するエリスロポエチン投与のほか,しばしば透析または移植を行う。