肛門 直腸と肛門 直腸は大腸の終わりのS状結腸に続く部分から始まり、最後は肛門へと続く管腔です( 肛門と直腸の概要)。普通、便は下行結腸にとどまっているため、直腸は空になっています。やがて、下行結腸がいっぱいになり、便が直腸に下りてくると便意が起こります(排便)。成人や年長児はトイレに行くまで便意を我慢することができます。乳児や幼児では、排便を遅らせるのに... さらに読む は消化管の末端にある開口部で、便が体外に排出されるときの出口になる部分です。
直腸 直腸と肛門 直腸は大腸の終わりのS状結腸に続く部分から始まり、最後は肛門へと続く管腔です( 肛門と直腸の概要)。普通、便は下行結腸にとどまっているため、直腸は空になっています。やがて、下行結腸がいっぱいになり、便が直腸に下りてくると便意が起こります(排便)。成人や年長児はトイレに行くまで便意を我慢することができます。乳児や幼児では、排便を遅らせるのに... さらに読む は肛門の上にある消化管の一部で、便が肛門を通って体外に排出されるまで便が蓄えられる部分です。
消化器系
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肛門は皮膚を含む体表層と腸管から形成されています。
直腸の内面は、腸管の他の部分と同じように、粘液腺を含んだ輝きのある赤い組織でできています。直腸の内面は痛みに対して比較的鈍感ですが、肛門やその周囲の表皮の神経は痛みに対して非常に敏感です。
直腸と肛門の静脈は、その大半が肝臓につながる門脈に流れ込み、そこから体循環に流れ込みます。それらの静脈の一部は骨盤内の静脈に直接流れ込み、それから体循環に流れ込みます。直腸のリンパ管は下腹部のリンパ節へ流れ込みます。肛門のリンパ管は鼠径部(そけいぶ)のリンパ節に流れ込みます。
肛門は輪状の筋肉(肛門括約筋)によって閉じた状態を保っています。この肛門括約筋は 自律神経系 自律神経系 末梢神経系は、全身に糸のように張り巡らされた1000億個以上の神経細胞(ニューロン)からなり、脳や体の他の部位とつながっています。また多くの場合、神経同士もつながっています。 末梢神経は神経線維の束でできています。神経線維は、ミエリンと呼ばれる脂肪性の物質でできた組織で何層にも包まれています。これらの層からなる構造は髄鞘(ずいしょう)と呼... さらに読む によって無意識的に制御されています。しかし、肛門括約筋の一部は意識的に締めたり緩めたりすることができます。
肛門と直腸の異常や病気には以下のものがあります。
肛門と直腸の病気の診断
医師による評価
肛門鏡検査とS状結腸内視鏡検査
ときに、CT検査、またはMRI検査
肛門と直腸の病気を診断するために、医師は、肛門周囲の皮膚に何か異常がないかどうかをよく観察します。医師がゴム製の手袋をつけた指で直腸を触診します。女性の場合、しばしば腟の触診も同時に行われます(婦人科診察 婦人科診察 婦人科の診療では、性生活、避妊、妊娠、更年期に関する問題などのデリケートな事柄を扱うため、こうした内容について気兼ねなく相談できる専門家を選んでおくべきです。米国では、医師、助産師、ナースプラクティショナー、医師助手などが受診先となっています。 婦人科の評価には 婦人科の病歴聴取および婦人科の診察が含まれます。... さらに読む を参照)。腹部の診察もしばしば行われます。
次に、長さ約7~25センチメートルの観察用の硬い管状の機器(肛門鏡または直腸鏡)を使って肛門と直腸の中の様子を観察します。続いて、60センチメートル以上奥の大腸の様子を観察できるように、より長い柔軟な管状の機器(S状結腸内視鏡)が挿入されることもあります。
肛門鏡やS状結腸内視鏡による検査(内視鏡検査 内視鏡検査 内視鏡検査とは、柔軟な管状の機器(内視鏡)を用いて体内の構造物を観察する検査です。チューブを介して器具を通すことができるため、内視鏡は多くの病気の治療にも使うことができます。 口から挿入する内視鏡検査では、食道(食道鏡検査)、胃(胃鏡検査)、小腸の一部(上部消化管内視鏡検査)が観察できます。... さらに読む を参照)では、一般に不快感がありますが、痛みはありません。しかし、異常があるために肛門や肛門周囲に痛みがある場合は、検査を進める前に麻酔薬の軟膏(リドカインなど)を塗るか、局所麻酔や区域麻酔、場合によっては全身 麻酔 麻酔 手術とは、従来、病気やけが、体の変形を治療する目的で組織を手作業で切ったり塗ったりする処置(外科的処置といいます)を指すのに用いられてきた用語です。しかし、手術手技の進歩により、この定義はより複雑になっています。組織を切るのにメスではなくレーザーや放射線、その他の手法が用いられることもあれば、縫合せずに傷口を閉じることもあります。... さらに読む を行うこともあります。S状結腸内視鏡検査の前には、浣腸をして下部大腸から便を取り除くこともあります。
S状結腸内視鏡検査の際には、顕微鏡で調べたり培養したりするために、腸の組織と便のサンプルが採取されることがあります。
さらに CT検査 CT検査 CT検査(以前はCAT検査とよばれていました)では、X線源とX線検出器が患者の周りを回転します。最近の装置では、X線検出器は4~64列あるいはそれ以上配置されていて、それらが体を通過したX線を記録します。検出器によって記録されたデータは、患者の全周の様々な角度からX線により計測されたものであり、直接見ることはできませんが、検出器からコンピ... さらに読む または MRI検査 MRI検査 MRI検査は、強い磁場と非常に周波数の高い電磁波を用いて極めて詳細な画像を描き出す検査です。X線を使用しないため、通常はとても安全です。( 画像検査の概要も参照のこと。) 患者が横になった可動式の台が装置の中を移動し、筒状の撮影装置の中に収まります。装置の内部は狭くなっていて、強い磁場が発生します。通常、体内の組織に含まれる陽子(原子の一... さらに読む も行われることがあります。