セックス(生物学的な性別)とジェンダー(社会的な性別)について話をするために、様々な用語が使用されています。
セクシャルアイデンティティは、その人がどちらの性に性的に惹かれるかを表す用語です。
ジェンダーアイデンティティは、本人が自分のことを男性的、女性的、それ以外(ジェンダークィア、ノンバイナリー、アジェンダ―と呼ばれることもあります)のどれに該当すると認識しているかを表す用語で、「それ以外」としては、男性と女性の中間、組合せ、どちらでもない、頻繁に入れ替わるなどの場合があります。
ジェンダーロール(性別役割)とは、その人が社会において自分のことをジェンダーの観点でどのように表現しているかです。これには服装、話し方、ヘアスタイルなど、その人の男らしさや女らしさを表す言動の事実上すべてのものが含まれます。
(セクシュアリティの概要 セクシュアリティの概要 セクシュアリティとは、他者に身体的な魅力を感じるプロセスを構成する本能や感情を本人がどのように経験し、どのように表現するかということです。これは人の経験の正常な一部であり、遺伝子構成や小児期の養育環境、周囲の人々からの影響、社会的な態度など、いくつかの要因によって決定されます。そのため、正常とみなされる性行動の種類は、異なる文化間ではもち... さらに読む を参照のこと。)
ほとんどの人は、ジェンダーアイデンティティが解剖学的な(出生時の)性別や自身の性別役割と一致していています(例えば、心の中で自分を男性と認識している認識している男性の多くは人前で男性として振る舞います)。
ジェンダーアイデンティティは、幼少期(生後18カ月から24カ月)までに確立されます。小児期には、男児は自分が男であるという認識を、女児は自分が女であるという認識をもつようになります。小児はときに、その社会の多くの人が反対の性別の小児に向いていると考える遊びを好むことがあります(性別不適合行動と呼ばれます)。例えば、幼い女児が野球やレスリングを好むことがあります。幼い男児が人形遊びをしたり、スポーツや荒っぽい遊びよりも料理を好んだりすることもあります。通常、このような行動は正常な発達の一部です。本人が出生時の生物学的な性別を自分の本当の性別と認識し、そのことについて不快感をもっていない限り、ジェンダーアイデンティティに問題はありません。女児に向いているとされる活動を好む男児のほとんどは、成人後にジェンダーアイデンティティの問題を抱えることはありません。しかし、そのような活動を一貫して好む男児の多くは、成人後に同性愛者や両性愛者になる可能性が高くなります。
半陰陽 症状 の状態で生まれた小児は、どちらかの性別として育てられれば、たとえ本人の生物学的な別と反対の性別役割で育てられたとしても、通常はジェンダーアイデンティティに問題は生じません。明らかな半陰陽である小児や乳児に対して性器手術を行うことが適切がどうかについては、意見が分かれています。
ときに、自身のジェンダーアイデンティティと解剖学的な性別が一致しないと感じることがあります。ときに、この不一致の感覚のために強い苦痛が生じたり、日常生活に支障をきたしたりします。そのような場合、その状態は 性別違和 性別違和 性別違和とは、生まれたときの生物学的な性別が性別に関する自身の内的な感覚(男性、女性、混合、中性、それ以外―すなわちジェンダーアイデンティティ)と一致していないという持続的な感覚に関連して、重大な苦痛や社会生活上の困難を感じている状態です。 自分が認識している性別が自分の生物学的な性別と一致していないと感じる人もいれば、自分は男性でも女性... さらに読む と呼ばれます。性別違和を抱える人は、医療従事者による評価を受ける必要があるかもしれません。