(甲状腺の概要 下垂体の概要 下垂体はエンドウマメ大の腺で、脳基底部の骨でできた構造(トルコ鞍[あん])の内部に収まっています。トルコ鞍は下垂体を保護していて、下垂体が大きくなる余地はほとんどありません。 下垂体は他の多くの内分泌腺の働きを制御しているため、内分泌中枢とも呼ばれます。また、下垂体は脳内でそのすぐ上に位置している視床下部に大部分を制御されています。視床下... さらに読む も参照のこと。)
トルコ鞍空洞症候群は、脳周囲の髄液とトルコ鞍を分離する障壁に欠損がある病気です。その結果、髄液が 下垂体 下垂体の概要 下垂体はエンドウマメ大の腺で、脳基底部の骨でできた構造(トルコ鞍[あん])の内部に収まっています。トルコ鞍は下垂体を保護していて、下垂体が大きくなる余地はほとんどありません。 下垂体は他の多くの内分泌腺の働きを制御しているため、内分泌中枢とも呼ばれます。また、下垂体は脳内でそのすぐ上に位置している視床下部に大部分を制御されています。視床下... さらに読む とトルコ鞍の壁を圧迫します。トルコ鞍は拡大し、下垂体は小さくなり、その結果、画像検査ではトルコ鞍が空洞に見えます。
トルコ鞍空洞症候群は、過体重と高血圧のある中年女性に多く発生します。まれに下垂体手術、放射線療法、あるいは下垂体腫瘍の梗塞(こうそく)つまり死滅の後にも発生します。
トルコ鞍空洞症候群では症状がみられない場合もあり、重篤な症状が生じることはめったにありません。約半数で頭痛を生じ、高血圧になる人もいます。まれに髄液が鼻から漏れたり、視覚に問題が生じることもあります。
トルコ鞍空洞症候群は CT検査 CT検査 CT検査(以前はCAT検査とよばれていました)では、X線源とX線検出器が患者の周りを回転します。最近の装置では、X線検出器は4~64列あるいはそれ以上配置されていて、それらが体を通過したX線を記録します。検出器によって記録されたデータは、患者の全周の様々な角度からX線により計測されたものであり、直接見ることはできませんが、検出器からコンピュータに送信され、コンピュータが体の2次元の断面のような画像(スライス画像)に変換します。(CTとは... さらに読む または MRI検査 MRI検査 MRI検査は、強い磁場と非常に周波数の高い電磁波を用いて極めて詳細な画像を描き出す検査です。X線を使用しないため、通常はとても安全です。( 画像検査の概要も参照のこと。) 患者が横になった可動式の台が装置の中を移動し、筒状の撮影装置の中に収まります。装置の内部は狭くなっていて、強い磁場が発生します。通常、体内の組織に含まれる陽子(原子の一部で正の電荷をもちます)は特定の配列をとっていませんが、MRI装置の中で発生するような強い磁場の中に... さらに読む で診断できます。血液中のホルモン量を測定することで下垂体の機能を調べ、ホルモンの過剰または欠乏がないことを確認します。しかし、下垂体の機能は通常は正常です。
治療が必要になることはまれです。下垂体によるホルモン生産が過剰または過少な場合にのみ治療が行われ、どのホルモンが影響を受けているかによってどのような治療が行うかが決まります。治療では、欠乏しているホルモンを補充したり、過剰なホルモン生産を抑制する薬剤を投与したりすることがあります。