通常、 陣痛と分娩 陣痛と分娩の概要 陣痛および分娩の経過は人によって異なりますが、ほとんどの場合、一般的な経過をたどります。したがって妊娠したら出産に向けて体にどのような変化が起こり、妊婦のサポートのためにどのような対策が行われるかについて、大体のことを知っておくとよいでしょう。また、子どもの父親もしくはパートナーが出産に立ち会うか、どこで出産するかといったこともあらかじめ... さらに読む で問題が生じることはありません。深刻な問題が起こることは比較的まれで、ほとんどが予期できるため効果的に治療できます。しかし、ときには思いがけない問題が突然起こることもあります。妊娠中に医師や助産師の定期健診を受けていると、起こりうる問題を予測し、健康な子どもを安全に出産できる可能性が高まります。
問題としては以下のものがあります。
胎児や新生児の問題
母体の問題
癒着胎盤は妊娠中に発見されることもあれば、分娩後に発見されることもあります。
ほとんどの問題は、分娩が始まる前から明らかです。例えば以下のものです。
妊娠中に生じる問題(合併症)の中には、陣痛中や分娩中に問題を引き起こすものもあります。例えば 妊娠高血圧腎症 妊娠高血圧腎症および子癇 妊娠高血圧腎症は、妊娠20週以降に新たに発症する高血圧または既存の高血圧の悪化で、過剰な尿タンパク質を伴うものです。子癇(しかん)は妊娠高血圧腎症の女性に起こるけいれん発作で、ほかに原因がないものをいいます。 妊娠高血圧腎症によって胎盤剥離や早産が起こりやすくなり、出生直後の新生児に問題が生じるリスクが高まります。... さらに読む (タンパク尿を伴う高血圧)になると胎盤が早い時期に子宮から剥がれてしまったり(常位胎盤早期剥離 常位胎盤早期剥離 常位胎盤早期剥離とは、胎盤が子宮壁から早期に剥がれてしまうことで、通常は妊娠20週以降に起こります。 腹痛や圧痛、性器出血が起こることがあり、ショック状態を起こすこともあります。 胎盤が早い時期に剥がれると、在胎週数の割に成長しなかったり、死亡することさえあります。 医師は症状に基づいて常位胎盤早期剥離を診断し、ときに超音波検査を行って診... さらに読む )、新生児に問題が起こったりする可能性があります。
あるいは、陣痛中や分娩中に発生したり、明らかになる問題があります。例えば以下のものです。
羊水塞栓症 羊水塞栓症 羊水塞栓症では、胎児の細胞や組織が含まれる羊水が母体の血流に入り、母体に重篤な反応を引き起こします。(羊水とは、子宮内の胎児の周囲を満たしている液体のことです。)この反応は肺や心臓に損傷を与え、過度の出血を引き起こすことがあります。 羊水塞栓症は極めてまれです。通常、妊娠後半に起こりますが、第1または第2トリメスター【訳注:第1トリメスタ... さらに読む (子宮内の胎児の周囲を満たしている液体[羊水]が母体の血流に入り、ときに生命を脅かす反応が母体に起こることがある)
産道(骨盤および腟)を通るのに胎児が大きすぎる(胎児骨盤不均衡)
合併症が発生すると、自然分娩および経腟分娩に代わる方法が必要になる場合があります。例えば以下のものです。
胎児の娩出直後に起こったり、胎盤の娩出の前後に起こる問題があります。例えば以下のものです。
陣痛と分娩の時期
出産予定日(通常は妊娠40週に相当する日)の当日に出産する人は全体の10%にすぎません。50%が予定日の前後1週間に出産し、90%近い人が予定日の前後2週間に出産します。
分娩の時期には以下の可能性があります。
これらが起こると、胎児の健康や生命が危険にさらされる可能性があります。
母体や胎児に医学的問題がある場合や、胎児の姿勢が異常な場合には、分娩開始が早まったり、遅れたりすることがあります。
受胎日が正確に分かることは少ないため、妊娠期間を正しく把握することは困難です。妊娠の初期に妊娠期間を推定するには、安全で痛みを伴わない超音波検査が役立ちます。しかし、妊娠の中期から後期になると、超音波検査によって割り出される妊娠期間の信頼性は低下します。