多くの先天異常は原因不明ですが、感染、遺伝的要因、そして特定の環境要因が先天異常の発生リスクを高めます。
出生前の段階では、母親がもつ危険因子と超音波検査の結果のほか、ときに血液検査、 羊水穿刺 羊水穿刺 出生前診断は、遺伝性または自然発生的な特定の遺伝性疾患などの特定の異常がないかどうか、出生前に胎児を調べる検査です。 妊婦の血液に含まれる特定の物質の測定に加え、超音波検査を行うことで、胎児の遺伝子異常のリスクを推定できます。 こうした検査は、妊娠中の定期健診の一環として行われることがあります。... さらに読む 、 絨毛採取 絨毛採取 出生前診断は、遺伝性または自然発生的な特定の遺伝性疾患などの特定の異常がないかどうか、出生前に胎児を調べる検査です。 妊婦の血液に含まれる特定の物質の測定に加え、超音波検査を行うことで、胎児の遺伝子異常のリスクを推定できます。 こうした検査は、妊娠中の定期健診の一環として行われることがあります。... さらに読む の結果に基づいて診断されます。
出生後の段階では、身体診察、画像検査、および血液検査の結果に基づいて診断されます。
一部の先天異常は、妊娠中に良好な栄養状態を維持し、飲酒を控え、放射線を浴びないようにし、特定の薬剤の使用を控えることによって、予防することができます。
先天異常には、手術で治療できるものや、薬で管理できるものもあります。
先天異常は、以下のように、あらゆる臓器のあらゆる部分に生じる可能性があります。
尿路 性器の先天異常 性器の先天異常は、男児では陰茎、陰嚢、精巣、女児では腟と陰唇に生じます。ときとして、性器が女性のものか男性のものかがはっきりしない性別不明性器であることがあります。 性器の異常の原因としては、胎児の発育中に性ホルモンの濃度が異常であったこと、染色体の異常、環境的な要因、遺伝的な要因があります。... さらに読む と 性器 性器の先天異常 性器の先天異常は、男児では陰茎、陰嚢、精巣、女児では腟と陰唇に生じます。ときとして、性器が女性のものか男性のものかがはっきりしない性別不明性器であることがあります。 性器の異常の原因としては、胎児の発育中に性ホルモンの濃度が異常であったこと、染色体の異常、環境的な要因、遺伝的な要因があります。... さらに読む
一部の先天異常は、ほかの先天異常より多くみられます。
米国では、先天異常は乳児の死亡原因の上位を占めていて、胎児死亡を引き起こすものもあり、 流産 流産 流産とは、妊娠20週未満で胎児が失われることです。 胎児側の問題(遺伝性疾患や先天異常など)によっても母体側の問題(生殖器の構造的異常、感染症、コカインの使用、飲酒、喫煙、けがなど)によっても流産が起こりますが、多くの場合、原因は不明です。 出血や筋けいれんが起こることがありますが、特に妊娠して週数が経過している場合にはよく起こります。... さらに読む や 死産 死産 死産とは妊娠20週以降に胎児が死亡することです。 死産は母体、胎盤、または胎児の問題から生じることがあります。 医師は血液検査を行って死産の原因の特定を試みます。 死亡した胎児が排出されない場合は、子宮から内容物の排出を促す薬剤を母体に投与するか、頸管拡張・内容除去という方法により子宮内容物を外科的に除去します。... さらに読む の原因になっています。
先天異常は5歳までの小児の約7.5%にみられますが、それらの多くは軽微なものです。大きな先天異常は新生児の約3~4%でみられます。
複数の先天異常が1人の小児にみられることもあります。
先天異常の原因と危険因子
先天異常はとても多くみられますが、1つの受精卵が1人の人間を構成する膨大な数の分化した細胞にまで成長していく過程の複雑さを考えれば、これは驚くことではありません。大半の先天異常は原因不明ですが、特定の遺伝的要因と環境要因は先天異常が発生する可能性を高めます。そのような要因としては、 放射線 放射線と小児 放射線障害とは、電離放射線の被曝により生じた組織の損傷です。 電離放射線の大量照射は、血球の生産量を減らし、消化管に損傷を与えることによって急性疾患を引き起こします。 電離放射線のさらに大量の照射は、心臓と血管(心血管系)、脳、皮膚にも損傷を与えます。 大量、またはさらに大量の放射線被曝による放射線障害は、組織反応と呼ばれます。どのくらい... さらに読む への曝露、特定の薬剤(表「」を参照)、 アルコール 妊娠中のアルコール 妊婦の50%以上が、妊娠中に処方薬や市販薬(処方なしで購入できる薬剤)を服用したり、社会的薬物(タバコやアルコール)または違法薬物を使用しており、妊娠中の薬の使用は増えてきています。一般に、薬の多くは胎児に害を及ぼす可能性があるため、妊娠中は、必要な場合を除いて、薬剤を使用すべきではありません。病気や症状の治療に使用された薬剤が原因で発生... さらに読む 、 栄養不良 薬および栄養補助食品 妊娠してから妊婦が自分で管理できることはたくさんあります。妊娠中の食事、薬剤や栄養補助食品の使用、運動、性交などについて質問があれば医師や医療従事者に相談するようにします。 妊娠中の女性は、適切な栄養素を含む十分な量の食事をとる必要があります。妊婦が母体と胎児に必要な栄養を十分摂取していないと、栄養分はまず胎児へ向かいます。ただし、1日の... さらに読む 、 母親の特定の感染症 妊娠中の感染症 妊娠中に発症することが非常に多い、皮膚、尿路、気道などの感染症が重篤な問題を引き起こすことはありません。しかし感染症の中には分娩前もしくは分娩中に胎児に感染して、胎児に悪影響を与えたり、 流産や 早産の原因になったりするものもあります。また、妊娠中に抗菌薬を使用することが安全かどうかという懸念もあります。... さらに読む 、 遺伝性疾患 染色体異常症と遺伝子疾患の概要 染色体は、細胞の中にあって複数の遺伝子が記録されている構造体です。 遺伝子とは、細胞の種類に応じて機能する特定のタンパク質の設計情報が記録された領域で、物質としては DNA(デオキシリボ核酸)で構成されています(遺伝学についての考察は 遺伝子と染色体)。 人間の正常な細胞は、精子と卵子を除いて、いずれも23対、計46本の染色体をもっていま... さらに読む などがあります。
なかには回避できるリスクもあります。妊婦が健康的な生活習慣をどれだけ厳格に守ろうとも起きてしまう先天異常もあります。多くの先天異常は、女性が自分の妊娠に気づく前に発生します。
有害物質(催奇形物質)への曝露
催奇形物質とは、先天異常を引き起こす、あるいはその可能性を高める物質のことです。催奇形因子としては以下のものがあります。
毒性物質(アルコールを含む)
催奇形物質にさらされた妊婦でも、その大半は異常のない新生児を出産します。先天異常が起こるかどうかは、妊婦が催奇形物質にさらされた時期と量と期間によって決まります(妊娠中の曝露 妊娠中の曝露 危険因子には妊娠前から存在するものがあり、そのような危険因子としては以下のものがあります。 特定の 身体的な特徴(年齢や体重など) 帝王切開が必要となったなど、 過去の妊娠時の問題 妊娠前から存在する特定の病気 胎児に害のある物質への 曝露 さらに読む を参照)。
催奇形物質にさらされると、ちょうどそのときに成長している胎児の臓器が最も大きく影響を受けます。例えば、胎児の脳のある部分が成長する時期に催奇形物質にさらされると、この決定的な時期の前や後にさらされる場合よりも、その部分に異常が起きる可能性が高くなります。
栄養
胎児を健康な状態に保つには、 栄養のある食事 食事と体重 妊娠してから妊婦が自分で管理できることはたくさんあります。妊娠中の食事、薬剤や栄養補助食品の使用、運動、性交などについて質問があれば医師や医療従事者に相談するようにします。 妊娠中の女性は、適切な栄養素を含む十分な量の食事をとる必要があります。妊婦が母体と胎児に必要な栄養を十分摂取していないと、栄養分はまず胎児へ向かいます。ただし、1日の... さらに読む をとり続けることが必要です。 例えば、食事中の葉酸(葉酸塩 葉酸欠乏症 葉酸欠乏症はよくみられます。体は少量の葉酸しか蓄えていないため、葉酸が少ない食事を続けていると、数カ月以内に葉酸欠乏症になります。 生の葉野菜や柑橘類を十分に摂取しないと、葉酸欠乏症になることがあります。 貧血が生じて、疲労、蒼白、易怒性、息切れ、めまいが現れることがあります。... さらに読む )が不足すると、胎児に二分脊椎や 神経管閉鎖不全 神経管閉鎖不全と二分脊椎 神経管閉鎖不全は脳、脊椎、脊髄に生じる先天異常の一種です。 神経管閉鎖不全により、神経損傷、学習障害、麻痺、死亡が起こることがあります。 血液検査、羊水検査、または超音波検査の結果に基づいて出生前から診断できます。 出生後、医師は身体診察を行い、追加の画像検査を行う場合もあります。... さらに読む などの脳や脊髄の異常が引き起こされる可能性が高くなります。 口唇裂 口唇裂と口蓋裂 裂とは、妊娠中に組織が完全にくっつかない場合に、唇(口唇裂)、口の中の天井部分(口蓋裂)、またはその両方にできることがある開いた部分のことです。口唇裂と口蓋裂は先天異常です。 先天異常あるいは先天奇形とは、出生前の段階で生じた身体的な異常のことです。「先天」とは、「生まれたときから存在する」という意味です。(... さらに読む (上唇が分離している状態)または 口蓋裂 口唇裂と口蓋裂 裂とは、妊娠中に組織が完全にくっつかない場合に、唇(口唇裂)、口の中の天井部分(口蓋裂)、またはその両方にできることがある開いた部分のことです。口唇裂と口蓋裂は先天異常です。 先天異常あるいは先天奇形とは、出生前の段階で生じた身体的な異常のことです。「先天」とは、「生まれたときから存在する」という意味です。(... さらに読む (口の中の天井に裂け目がある状態)が発生する可能性も高くなります。
遺伝および染色体に関する要因
染色体 染色体 遺伝子とは、DNA(デオキシリボ核酸)のうち、細胞の種類に応じて機能する特定のタンパク質の設計情報が記録された領域のことです。染色体は、細胞の中にあって複数の遺伝子が記録されている構造体です。 遺伝子は染色体内にあり、染色体は細胞の核にあります。 1本の染色体には数百から数千の遺伝子が含まれています。... さらに読む と 遺伝子 遺伝子 遺伝子とは、DNA(デオキシリボ核酸)のうち、細胞の種類に応じて機能する特定のタンパク質の設計情報が記録された領域のことです。染色体は、細胞の中にあって複数の遺伝子が記録されている構造体です。 遺伝子は染色体内にあり、染色体は細胞の核にあります。 1本の染色体には数百から数千の遺伝子が含まれています。... さらに読む に異常が生じることがあります。それらの異常は両親から遺伝しますが、親自身にその異常の影響が出ている場合もあれば、親はその異常を引き起こす遺伝子のキャリアである場合もあります(染色体異常症の概要 染色体異常症と遺伝子疾患の概要 染色体は、細胞の中にあって複数の遺伝子が記録されている構造体です。 遺伝子とは、細胞の種類に応じて機能する特定のタンパク質の設計情報が記録された領域で、物質としては DNA(デオキシリボ核酸)で構成されています(遺伝学についての考察は 遺伝子と染色体)。 人間の正常な細胞は、精子と卵子を除いて、いずれも23対、計46本の染色体をもっていま... さらに読む を参照)。キャリアとは、ある病気の原因となる異常遺伝子をもっているものの、その病気の症状が現れていない人のことです。
しかし、多くの先天異常は受精卵に生じた新たな染色体異常や遺伝子変異によって引き起こされるものであり、両親から遺伝したものではありません。
遺伝的要因によって生じる先天異常は、多くの場合、体の1カ所だけの明らかな奇形にとどまらず、ほかの部分にも影響を及ぼします。
感染症
妊婦がある種の感染症にかかると、先天異常の原因となります(妊娠中の感染症 妊娠中の感染症 妊娠中に発症することが非常に多い、皮膚、尿路、気道などの感染症が重篤な問題を引き起こすことはありません。しかし感染症の中には分娩前もしくは分娩中に胎児に感染して、胎児に悪影響を与えたり、 流産や 早産の原因になったりするものもあります。また、妊娠中に抗菌薬を使用することが安全かどうかという懸念もあります。... さらに読む を参照)。感染症が先天異常を引き起こすかどうかは、その感染症の影響が胎児に及ぶ時点での胎児の週齢によります。
先天異常を引き起こすことが多い感染症としては、以下のものがあります。
これらの感染症の一部は、成人では症状がわずかであったり、無症状であったりすることがあるため、女性が感染しても気づかない可能性があります。
先天異常の診断
出生前の段階では、超音波検査のほか、ときにMRI検査、血液検査、羊水穿刺、または絨毛採取
出生後の段階では、身体診察、超音波検査、CT検査、MRI検査、および血液検査
出生前
出生前の段階では、母親が胎児に先天異常の起きるリスクが高い状態にあるかどうかを医師が評価します(出生前診断 出生前診断 出生前診断は、遺伝性または自然発生的な特定の遺伝性疾患などの特定の異常がないかどうか、出生前に胎児を調べる検査です。 妊婦の血液に含まれる特定の物質の測定に加え、超音波検査を行うことで、胎児の遺伝子異常のリスクを推定できます。 こうした検査は、妊娠中の定期健診の一環として行われることがあります。... さらに読む )。妊婦に以下の 危険因子 遺伝性疾患と先天異常の危険因子 遺伝性疾患は1つ以上の 遺伝子または染色体の異常が原因で起こる病気です。遺伝性疾患には遺伝するものと、自然に発生するものがあります。 遺伝性疾患のうち遺伝するものは、次の世代へ受け継がれます。 自然発生的な遺伝性疾患は次の世代へ受け継がれるものではありませんが、父親の精子や母親の卵子の細胞、発育中の胚の細胞に含まれる遺伝物質が偶然に損傷を... さらに読む がみられる場合、可能性が高くなります。
高齢
流産 流産 流産とは、妊娠20週未満で胎児が失われることです。 胎児側の問題(遺伝性疾患や先天異常など)によっても母体側の問題(生殖器の構造的異常、感染症、コカインの使用、飲酒、喫煙、けがなど)によっても流産が起こりますが、多くの場合、原因は不明です。 出血や筋けいれんが起こることがありますが、特に妊娠して週数が経過している場合にはよく起こります。... さらに読む または 死産 死産 死産とは妊娠20週以降に胎児が死亡することです。 死産は母体、胎盤、または胎児の問題から生じることがあります。 医師は血液検査を行って死産の原因の特定を試みます。 死亡した胎児が排出されない場合は、子宮から内容物の排出を促す薬剤を母体に投与するか、頸管拡張・内容除去という方法により子宮内容物を外科的に除去します。... さらに読む を何度も経験している
染色体異常または先天異常のある子どもをもったことがある、もしくは乳児期に原因不明で死亡した子どもがいる
このような妊婦には、胎児が正常に発育しているかどうかを調べるためのモニタリングと特別な検査が必要になります。
出生前に先天異常が診断されるケースが増えてきています。
胎児の 超音波検査 超音波検査 出生前診断は、遺伝性または自然発生的な特定の遺伝性疾患などの特定の異常がないかどうか、出生前に胎児を調べる検査です。 妊婦の血液に含まれる特定の物質の測定に加え、超音波検査を行うことで、胎児の遺伝子異常のリスクを推定できます。 こうした検査は、妊娠中の定期健診の一環として行われることがあります。... さらに読む は、妊娠中によく行われる検査です。適応があれば、胎児の MRI検査 MRI検査 MRI検査は、強い磁場と非常に周波数の高い電磁波を用いて極めて詳細な画像を描き出す検査です。X線を使用しないため、通常はとても安全です。( 画像検査の概要も参照のこと。) 患者が横になった可動式の台が装置の中を移動し、筒状の撮影装置の中に収まります。装置の内部は狭くなっていて、強い磁場が発生します。通常、体内の組織に含まれる陽子(原子の一... さらに読む が行われることもあります。これらの画像検査により、しばしば特定の先天異常を発見することができます。
血液検査が役に立つ場合もあります。例えば、母親の血液中のアルファ-フェトプロテイン値が高い場合、脳、脊髄、または他の特定の臓器に欠損がある可能性があります(第2トリメスター【訳注:日本でいう妊娠中期にほぼ相当】のスクリーニング 第2トリメスター【訳注:日本でいう妊娠中期にほぼ相当】のスクリーニング 出生前診断は、遺伝性または自然発生的な特定の遺伝性疾患などの特定の異常がないかどうか、出生前に胎児を調べる検査です。 妊婦の血液に含まれる特定の物質の測定に加え、超音波検査を行うことで、胎児の遺伝子異常のリスクを推定できます。 こうした検査は、妊娠中の定期健診の一環として行われることがあります。... さらに読む を参照)。最近では、細胞フリー胎児DNA分析と呼ばれる検査法が用いられています。この検査では、妊婦の血液サンプルを分析することで、胎児に特定の遺伝性疾患がないかを確認できます。この検査は、妊婦の血液中にはごく少量ながら胎児由来のDNA(遺伝物質)が含まれているという事実に基づいています。この検査は 非侵襲的出生前スクリーニング 染色体異常と遺伝子異常の検査 染色体は、細胞の中にあって複数の遺伝子が記録されている構造体です。 遺伝子とは、細胞の種類に応じて機能する特定のタンパク質の設計情報が記録された領域で、物質としては DNA(デオキシリボ核酸)で構成されています(遺伝学についての考察は 遺伝子と染色体)。 人間の正常な細胞は、精子と卵子を除いて、いずれも23対、計46本の染色体をもっていま... さらに読む (NIPS)と呼ばれています。非侵襲的出生前スクリーニングを行うことで、 21トリソミー ダウン症候群(21トリソミー) ダウン症候群は、余分な21番染色体によって引き起こされる染色体異常症の一種で、知的障害と様々な身体的異常がみられます。 ダウン症候群は、21番染色体が余分にあることで発生します。 ダウン症候群の小児では、発育の遅れ、精神発達の遅れ、特異的な頭部と顔貌、しばしば低身長がみられます。... さらに読む (ダウン症候群)、 13トリソミー 13トリソミー 13トリソミーは、余分な13番染色体によって引き起こされる染色体異常症の一種で、重度の知的障害と様々な身体的異常がみられます。 13トリソミーは、13番染色体が余分にあることで発生します。 この症候群の乳児は、典型的には体格が小さく、しばしば脳、眼、顔面、心臓に重大な異常がみられます。... さらに読む 、 18トリソミー 18トリソミー 18トリソミーは、余分な18番染色体によって引き起こされる染色体異常症の一種で、知的障害と様々な身体的異常がみられます。 18トリソミーは、18番染色体が余分にあることで発生します。 この症候群の乳児は、典型的には体格が小さく、多くの身体的異常と内臓の機能障害がみられます。 診断を確定するための検査は、出生前でも出生後にも行えます。... さらに読む や、その他特定の染色体異常のリスクが高いことを特定することができます。医師は通常、何らかの遺伝子異常のリスクが高いことが判明すれば、さらなる検査を行います。
確定診断には、 羊水穿刺 羊水穿刺 出生前診断は、遺伝性または自然発生的な特定の遺伝性疾患などの特定の異常がないかどうか、出生前に胎児を調べる検査です。 妊婦の血液に含まれる特定の物質の測定に加え、超音波検査を行うことで、胎児の遺伝子異常のリスクを推定できます。 こうした検査は、妊娠中の定期健診の一環として行われることがあります。... さらに読む (胎児の周囲を満たしている液体[羊水]を採取すること)または 絨毛採取 絨毛採取 出生前診断は、遺伝性または自然発生的な特定の遺伝性疾患などの特定の異常がないかどうか、出生前に胎児を調べる検査です。 妊婦の血液に含まれる特定の物質の測定に加え、超音波検査を行うことで、胎児の遺伝子異常のリスクを推定できます。 こうした検査は、妊娠中の定期健診の一環として行われることがあります。... さらに読む (発育中の胎児を包む胎嚢[たいのう]から組織を採取すること)が役に立つことがあります。これらの処置中に採取されたサンプルに対して遺伝子検査を行います。
出生後
出生後には、医師が 新生児の身体診察 新生児の身体診察 医師は普通は生後24時間以内に、新生児を総合的に診察します。診察は、まず 体重、 身長、 頭囲などの測定から始めます。新生児の平均出生体重は約3200グラム、平均出生身長は約51センチメートルですが、正常と考えられる範囲には大きな幅があります。それから新生児の皮膚、頭頸部、心臓と肺、腹部と性器を調べ、神経系と反射を評価します。また、身体診... さらに読む を行います。この診察中には、新生児の皮膚、頭頸部、心臓と肺、腹部と性器を調べ、神経系と反射を評価します。一部の新生児には、特定の病気を示唆する身体的な外見が認められます。
米国では、ほとんどの新生児に対して、いくつかの 代謝性疾患 遺伝性代謝疾患の概要 遺伝性代謝疾患とは、代謝の問題を引き起こす遺伝性の病気です。 遺伝とは、ある世代から次の世代へ 遺伝子が受け継がれることを意味します。子どもは親の遺伝子を受け継ぎます。子どもが、代謝制御に関わる欠陥のある遺伝子を受け継ぐと、遺伝性代謝疾患を発症します。 遺伝性疾患には様々な種類があります。ほとんどの遺伝性代謝疾患では、患児の両親がともに異... さらに読む と 遺伝性疾患 染色体異常と遺伝子異常の検査 染色体は、細胞の中にあって複数の遺伝子が記録されている構造体です。 遺伝子とは、細胞の種類に応じて機能する特定のタンパク質の設計情報が記録された領域で、物質としては DNA(デオキシリボ核酸)で構成されています(遺伝学についての考察は 遺伝子と染色体)。 人間の正常な細胞は、精子と卵子を除いて、いずれも23対、計46本の染色体をもっていま... さらに読む を検出するための スクリーニング血液検査 新生児スクリーニング検査 出生時に分からない重篤な病気の多くは、様々なスクリーニング検査により発見できます。新生児の健全な発達を妨げるような多くの病気を早期に診断し、迅速に治療を行うことで、症状を軽くしたり、予防したりすることができます。どこでも必ず行われる検査もあれば、特定の州だけが義務づけている検査もあります。スクリーニング検査の結果が陽性の場合、他の検査もし... さらに読む が決まって実施されています。
そして身体診察とスクリーニング検査の結果に応じて、 超音波検査 超音波検査 超音波検査は、周波数の高い音波(超音波)を用いて内臓などの組織の画像を描出する検査です。プローブと呼ばれる装置で電流を音波に変換し、この音波を体の組織に向けて発信すると、音波は体内の構造で跳ね返ってプローブに戻ります。これは再度、電気信号に変換されます。コンピュータが、この電気信号のパターンをさらに画像に変換してモニター上に表示するととも... さらに読む や CT検査 CT検査 CT検査(以前はCAT検査とよばれていました)では、X線源とX線検出器が患者の周りを回転します。最近の装置では、X線検出器は4~64列あるいはそれ以上配置されていて、それらが体を通過したX線を記録します。検出器によって記録されたデータは、患者の全周の様々な角度からX線により計測されたものであり、直接見ることはできませんが、検出器からコンピ... さらに読む 、 MRI検査 MRI検査 MRI検査は、強い磁場と非常に周波数の高い電磁波を用いて極めて詳細な画像を描き出す検査です。X線を使用しないため、通常はとても安全です。( 画像検査の概要も参照のこと。) 患者が横になった可動式の台が装置の中を移動し、筒状の撮影装置の中に収まります。装置の内部は狭くなっていて、強い磁場が発生します。通常、体内の組織に含まれる陽子(原子の一... さらに読む などの画像検査を行う場合があります。
先天異常の治療
ときに手術または薬剤
異常な染色体や遺伝子を修正することはできませんが、
一部の先天異常は、手術で治せるか、影響を軽減できる可能性があります。それ以外の先天異常については、薬剤や手術によって症状を管理することができます。