誰もがときに記憶,知覚,同一性,および意識の正常で自動的な統合が正常に働かないことを経験しうる。例えば,どこかをドライブした後で,個人的な心配事にとらわれていたか,ラジオ番組または同乗者との会話などのために,そのドライブでの多くの場面を思い出せないのに気づくことがある。そのような場合は非病的解離と呼ばれ,典型的には日常活動に混乱を生じさせることはない。
強迫症(OCD)は,反復的かつ持続的で,患者自身の意思に反し,かつ侵入的に生じる思考,衝動,もしくはイメージ(これらを強迫観念と称する),および/または強迫観念が引き起こす不安を軽減もしくは避けるために,患者が行わざるを得ないと感じる反復的な行動もしくは心の中の行為(これらを強迫行為と称する)により特徴づけられる。その診断は病歴に基づいてなされる。治療は精神療法(特に曝露反応妨害法),薬物療法(特にSSRIもしくはクロミプラミン),またはその両方(特に重症例)から成る。
身体化とは,精神現象が身体症状として現れることである。身体化を特徴とする障害は,症状が無意識かつ不随意的に発生するものから,症状が意識的かつ意図的に現れるものまでの連続体として認められる。この連続体には,身体症状症および関連症群,作為症,ならびに詐病が含まれる。本障害群の全ての障害において,患者の関心の焦点は身体的な懸念に強く向けられる。このため,身体化がみられる患者は,精神科のケアではなく,身体科の評価および治療を求めるのが典型的である。
精神的な愁訴もしくは懸念を有する患者または行動に異常のある患者には,プライマリケアおよび救急医療センターなどを含めて,様々な臨床現場で遭遇する。愁訴または懸念は新たに生じたものもあれば,過去の精神的問題と連続性のある場合もある。愁訴は,身体疾患に対する患者の対処と関係している場合もあれば,身体疾患の直接的な影響である場合もある。評価の方法は,愁訴の表出が,救急来院でなされたものか,予定された来院でなされたものかによって異なる。救急の場合には,医師は管理方針を決定するため,より直接的な病歴,症状,行動に焦点を絞って評価しなければならないこともある。予定された来院の場合には,より徹底的な評価を行うのが適切である。
統合失調症と関連障害群(短期精神病性障害,妄想性障害,統合失調感情障害,および統合失調症様障害)は,精神病症状に加えて,しばしば陰性症状および/または認知機能障害により特徴づけられる。精神病症状には,妄想,幻覚,まとまりのない思考および発語,ならびに奇異で不適切な行動(緊張病を含む)が含まれる。陰性症状とは,感情の平板化および意欲の欠如など,正常な感情および行動が減退または喪失することである。認知機能障害には主として注意の持続および作業記憶が含まれる。
誰もが定期的に恐怖および不安を経験する。恐怖とは,直ちに認識可能な外部からの脅威(例,侵入者,凍結した路面でスピンする車)に対する情動的,身体的,および行動的な反応である。不安とは,神経過敏や心配事による苦痛で不快な感情状態であり,その原因はそれほど明らかではない。脅威が生じる厳密な時期と不安との間に強い結びつきはなく,不安は脅威の前に予期される場合もあれば,脅威が去った後に持続する場合や,確認可能な脅威なしに生じる場合もある。不安はしばしば,恐怖により引き起こされるものに似た身体的変化や行動を伴う。