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重鎖病

執筆者:

James R. Berenson

, MD, Institute for Myeloma and Bone Cancer Research

レビュー/改訂 2021年 10月
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重鎖病は形質細胞のがんで、形質細胞のクローンがH鎖という異常な抗体の断片を大量に生産する病気です。

形質細胞は、白血球の一種であるB細胞(Bリンパ球 B細胞 体の防衛線( 免疫系)の一部には 白血球が関わっていて、それらの白血球は血流に乗って体内を移動して組織の中に入り込み、微生物などの異物を見つけ出して攻撃します。( 免疫系の概要も参照のこと。) この防衛線は以下の2つの部分で構成されています。 自然免疫 獲得免疫 獲得免疫(適応または特異免疫)は、生まれたときには備わっておらず、後天的に獲得されるものです。獲得のプロセスは、免疫系が異物に遭遇して、非自己の物質(抗原)であることを認識した... さらに読む B細胞 )から成長した細胞で、正常であれば 抗体 抗体 体の防衛線( 免疫系)の一部には 白血球が関わっていて、それらの白血球は血流に乗って体内を移動して組織の中に入り込み、微生物などの異物を見つけ出して攻撃します。( 免疫系の概要も参照のこと。) この防衛線は以下の2つの部分で構成されています。 自然免疫 獲得免疫 獲得免疫(適応または特異免疫)は、生まれたときには備わっておらず、後天的に獲得されるものです。獲得のプロセスは、免疫系が異物に遭遇して、非自己の物質(抗原)であることを認識した... さらに読む 抗体 (免疫グロブリン)を生産します。抗体は身体が感染と戦うのを助けるタンパク質です。1つの 形質細胞 B細胞 体の防衛線( 免疫系)の一部には 白血球が関わっていて、それらの白血球は血流に乗って体内を移動して組織の中に入り込み、微生物などの異物を見つけ出して攻撃します。( 免疫系の概要も参照のこと。) この防衛線は以下の2つの部分で構成されています。 自然免疫 獲得免疫 獲得免疫(適応または特異免疫)は、生まれたときには備わっておらず、後天的に獲得されるものです。獲得のプロセスは、免疫系が異物に遭遇して、非自己の物質(抗原)であることを認識した... さらに読む B細胞 が過剰に増殖すると、その結果生じた遺伝子的に同一の細胞集団(クローンと呼ばれます)が単一の種類の 抗体 抗体 体の防衛線( 免疫系)の一部には 白血球が関わっていて、それらの白血球は血流に乗って体内を移動して組織の中に入り込み、微生物などの異物を見つけ出して攻撃します。( 免疫系の概要も参照のこと。) この防衛線は以下の2つの部分で構成されています。 自然免疫 獲得免疫 獲得免疫(適応または特異免疫)は、生まれたときには備わっておらず、後天的に獲得されるものです。獲得のプロセスは、免疫系が異物に遭遇して、非自己の物質(抗原)であることを認識した... さらに読む 抗体 を大量に生産します。この抗体は単一のクローンによって作られるため、モノクローナル抗体と呼ばれ、Mタンパク質としても知られています。Mタンパク質の量が多い人は、他の抗体が少なくなっていることがよくあります。正常な抗体では軽鎖(L鎖)と重鎖(H鎖)という2種類の鎖が1本ずつ組み合わさった対が2つありますが、ときに抗体が不完全で、L鎖かH鎖のいずれか一方しかないことがあります。

抗体にはIgM、IgG、IgA、IgE、IgDという5つの種類(クラス)があります。どの種類の抗体にも固有の型の重鎖があります。

重鎖病は、生産されるH鎖のタイプにより、以下の3種類に分けられます。

  • アルファ(IgA由来)

  • ガンマ(IgG由来)

  • Mu(IgM由来)

アルファ重鎖病

アルファ重鎖病(IgA型重鎖病)は、主に中東や地中海地域の出身者を祖先とする若い成人にみられます。がん化した形質細胞が腸管壁に浸潤し、食物から栄養素を十分吸収できない状態(吸収不良 吸収不良の概要 吸収不良症候群とは、食べたものに含まれる栄養素が様々な理由により小腸で適切に吸収されない状態のことをいいます。 ある種の病気、感染症、手術でも吸収不良が起こることがあります。 吸収不良によって、下痢、体重減少、極度の悪臭がする大量の便がみられます。 診断は、典型的な症状と、便検査の結果、ときに小腸粘膜の生検結果に基づいて下されます。... さらに読む )になり、重度の下痢と体重減少が生じます。気道に障害を与えるまれな型もあります。

アルファ重鎖病が疑われる場合、血液検査を行います。そのような検査としては、血清タンパク質電気泳動法(SPEP)、免疫グロブリン定量、免疫電気泳動法などが行われます。血清タンパク質電気泳動法では、 血漿 血漿 血液の主な成分 血漿(けっしょう) 赤血球 白血球 血小板 さらに読む 血漿 中の特定のタンパク質を測定して一部の病気の特定に役立てます。免疫電気泳動法は、この検査を特殊な方法で行うもので、タンパク質を分離してから、検出可能な免疫反応に基づいて、そのタンパク質を特定します。尿検査が必要になることもあり、また、腸から組織を採取して検査するときもあります(生検)。

アルファ重鎖病は進行が速く、1~2年以内に死亡することもあります。それ以外では、シクロホスファミド、プレドニゾン[日本ではプレドニゾロン](コルチコステロイドの1つ)、抗菌薬を併用した治療により、病気の進行を遅らせたり、一時的な寛解を得たりできる場合があります。

ガンマ重鎖病

ガンマ重鎖病(IgG型重鎖病)は、主に高齢男性にみられます。ガンマ重鎖病では、症状がみられない人もいます。一部の患者には、さらに 関節リウマチ 関節リウマチ(RA) 関節リウマチは炎症性関節炎の1つで、関節(普通は手足の関節を含む)が炎症を起こし、その結果、関節に腫れと痛みが生じ、しばしば関節が破壊されます。 免疫の働きによって、関節と結合組織に損傷が生じます。 関節(典型的には腕や脚の小さな関節)が痛くなり、起床時やしばらく動かずにいた後に、60分以上持続するこわばりがみられます。 発熱、筋力低下、他の臓器の損傷が起こることもあります。... さらに読む 関節リウマチ(RA) シェーグレン症候群 シェーグレン症候群 シェーグレン症候群はよくみられる 自己免疫性結合組織疾患で、眼や口などの粘膜の異常な乾燥を特徴とします。 白血球が、体液を分泌する腺に侵入して損傷を与えることがあり、ときには他の臓器に損傷が及ぶ場合もあります。 診断を助けるために確立された基準が用いられることがあり、検査により涙と唾液の分泌量を測定するとともに、血液中に異常な抗体が存在しないかを評価できます。 通常は、眼や口などの表面を乾燥させないようにする対策を講じるだけで十分ですが... さらに読む シェーグレン症候群 全身性エリテマトーデス 全身性エリテマトーデス(SLE) 全身性エリテマトーデスは、関節、腎臓、皮膚、粘膜、血管の壁に起こる慢性かつ 炎症性の自己免疫結合組織疾患です。 関節、神経系、血液、皮膚、腎臓、消化管、肺、その他の組織や臓器に問題が発生します。 診断を下すため、血液検査のほか、ときにその他の検査を行います。 全身性エリテマトーデスの全患者でヒドロキシクロロキンが必要であり、損傷を引き起こし続けている全身性エリテマトーデス(活動性の全身性エリテマトーデス)の患者には、コルチコステロイドな... さらに読む 全身性エリテマトーデス(SLE) のような免疫系疾患がみられることがあります。がん化した形質細胞が骨髄に浸潤すると、白血球数の減少に伴って発熱や悪寒が繰り返し現れるなどの反復性感染症の症状や、重度の 貧血 貧血の概要 貧血とは、赤血球の数が少ない状態をいいます。 赤血球には、肺から酸素を運び、全身の組織に届けることを可能にしているヘモグロビンというタンパク質が含まれています。赤血球数が減少すると、血液は酸素を十分に供給できなくなります。組織に酸素が十分に供給されないと、貧血の症状が現れます。... さらに読む に伴って疲労感や脱力感などの症状が現れる人もいます。がん化した形質細胞によって、肝臓や脾臓が腫大することもあります。

診断を下すには血液検査と尿検査が必要です。

症状がある人は、化学療法薬、コルチコステロイド、放射線療法で効果が得られる可能性があります。しかし、ガンマ重鎖病は通常進行が速く、発症した人の半数は1年以内に死亡します。

ミュー重鎖病

ミュー重鎖病(IgM型重鎖病)は、3つの重鎖病で最も少なく、ほとんどの場合、50歳以上の人にみられます。腹部のリンパ節腫大のほかに、肝腫大や脾腫を引き起こす場合があります。骨折が起こる場合もあります。

一般的には血液と尿の検査が行われます。通常、診断には骨髄検査が必要です。

通常の治療には、化学療法とコルチコステロイドが含まれます。発症後の生存期間や治療に対する反応は、人によって大きく異なっています。

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