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食事とがん

執筆者:

Robert Peter Gale

, MD, PhD, DSC(hc), Imperial College London

レビュー/改訂 2022年 9月
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やさしくわかる病気事典

特定の食べものによってがんが発生するリスクが増大または減少するかどうかは、多くの研究で検討されています。残念ながら、様々な研究によって相反する結果が得られているため、がんのリスクに対する食べものや サプリメント サプリメントの概要 米国人の約75%がサプリメント(栄養補助食品)を使用しています。サプリメントは 統合健康・医療(IMH)および補完・代替医療(CAM)の中に含まれる最も一般的なものであり、IMHおよびCAMには従来の主流の西洋医学に歴史的に含まれていなかった癒しのアプローチや治療法が含まれています。サプリメントには、薬用ハーブや機能性食品(健康上の便益が... さらに読む の影響を明らかにすることは困難です。一般的な問題として、特定の食べものを多く摂取した人が特定のがんになる割合が低いとみられることが研究で分かった場合に、そのような人に他の危険因子(居住地、喫煙量、飲酒量など)でも差があったかどうかの判断が困難な可能性があるという点があります。

多くの場合、 比較試験 有効な治療法を明らかにする方法 医師たちは、何千年にもわたって人々の治療を行ってきました。医学的な治療の最も古い記録は、3500年以上前の古代エジプトのものです。それ以前にも、ヒーラーやシャーマンと呼ばれる人たちが、病人やけが人に薬草などによる治療を提供していたと考えられています。一部の単純な骨折や軽いけがに用いられたものなど、いくつかの治療法は実際に効果があるものでし... さらに読む 科学としての医学 臨床試験について参加者が知っておくべきこと 人々は医師に対して、効果のある治療法を選択し、効果のない治療は中止するように期待します。しかし、どの治療法が有効か見分けることは、医師や研究者にも困難であることが往々にしてあります。その判断を下すことが 医学の役割の1つであり、具体的には、臨床試験において治療法の効果を検討することで達成されるのが通常です。 臨床試験とは、ある介入(治療や検査など)が安全かつ有効かどうかを明らかにし、その介入の潜在的なベネフィットがリスクを上回っているこ... さらに読む も参照)を実施して、役に立つと考えられる食べものやサプリメントをランダムに一部の人に投与すると、研究で有益な効果は示されません。他のものより多く研究されている食べものやサプリメントがいくつかあり、多くの研究が進行中です。食物繊維が少なく加工肉を多く含む食事が、がんのリスクを高めることを示す複数の研究から、最も説得力のある科学的根拠が得られています。肥満は、食事のタイプにかかわらず、多くのがんのリスクを高めます。

アルコール

アルコールは、口、のど、食道、肝臓、乳房、結腸、直腸のがんのリスクを高めます。飲酒だけでなく喫煙もする人ではこれらのがんのリスクがさらに高まります。

抗酸化物質

ビタミンC、ビタミンE、ベータ-カロテン(ビタミンA)などの抗酸化物質は、バランスのとれた食事に含まれます。しかし、これらの抗酸化物質を含むサプリメントを摂取するとがんのリスクが低下するということは、研究では示されていません。逆に、ベータ-カロテンやビタミンEのサプリメントを多量に摂取すると、特定のがんのリスクが高くなることを示す証拠がいくつかあります。

人工甘味料

一部の早期研究で、特定の甘味料によって膀胱がん、脳腫瘍、リンパ腫のリスクが増加することが示されていますが、これらの研究は動物を対象として行われたものです。人間を対象とした研究で、このような甘味料の使用によってがんのリスクが増加することを示したものはありません。

遺伝子組換え食品(GMO食品)

様々な植物または特定の微生物から取り出した遺伝子を一部の植物の遺伝子に組み込んで、その植物の丈夫さや害虫への抵抗力を向上させるなどの品種改良が行われています。現在のところ、遺伝子組換え食品ががんのリスクに何らかの影響を与えることを実証する証拠はありません。

カルシウム

いくつかの研究で、ビタミンDの値を高めてカルシウムのサプリメントを用いると、結腸に前がん状態のポリープができるリスクを低下させる可能性があることが明らかにされています。しかし、カルシウムの大量摂取によって前立腺がんのリスクが高まることを示唆する研究もあります。

コーヒー

過去に行われた数件の研究では、コーヒーの摂取とがんのリスクとの間に関連があるようにみえましたが、より新しい研究では何の関係も示されていません。

食物繊維

一部の研究で、食物繊維を豊富に含む食事ががん(特に大腸がん)のリスクを低下させることが報告されていますが、見解の一致はみられていません。

魚とオメガ3脂肪酸

いくつかの動物研究で、オメガ3脂肪酸ががんの増殖を止めたり遅らせたりする可能性が示唆されています。しかし、これらの知見は人間では再現されていません。

フッ素

フッ素が添加された水の飲用、フッ素を含む歯磨き粉の使用、またはフッ化物を塗布する歯科処置を受けることによって、がんのリスクが高くなることを示した研究はありません。

葉酸

葉酸が欠乏している人ではがんのリスクが高いことを示す証拠がありますが、葉酸の欠乏ががんの原因であるかどうかは明らかになっていません。反対に、過剰な葉酸はがんのリスクを高める可能性を示唆する、あまり決定的でない証拠もあります。普通の食事をとっていれば、葉酸を追加する必要はありません。

食品添加物

米国では、米国食品医薬品局(FDA)の承認を受けなければ、食品添加物を食品に加えることはできないため、新しい添加物に対しては詳細な検査が行われます。これまでのところ、食品に使用される量の添加物によってがんのリスクが高くなることを示す証拠はありません。

ニンニク

ニンニクががんのリスク低下に効果的であることは科学的研究では示されていません。

放射線を照射した食品

放射線照射による食品の殺菌が行われることがありますが、これによりがんのリスクが高まることはありません。

リコピン

いくつかの研究で、主にトマトに含まれる赤い色素で抗酸化物質のリコピンによって一部のがんのリスクが低下する可能性が示されていますが、見解の一致はみられていません。

高温で調理された肉

直火焼きや網焼きなど、高温で調理された肉を食べると、発がん性のある化学物質が誘導され、がんのリスクが高くなる可能性があります。

自然食品

有機栽培された食品が他の方法で栽培された同じ食品と比べてがんのリスクを低下させることを裏付ける科学的根拠はありません。

過食

肥満の人は様々ながんのリスクが高くなります。

殺虫剤

食品中に残留している少量の殺虫剤ががんのリスクを高めるという証拠はありません。

加工肉

多量の加工肉を食べる人は胃がん、結腸がん、直腸がんのリスクが高い可能性があります。これについては、ランチョンミートやハム、ホットドッグに含まれる硝酸塩が原因であることを示唆する科学的証拠があります。

飽和脂肪

一部の研究で、脂肪の摂取量が高い国では一部のがんの発生率が高いことが明らかにされています。しかし、脂肪の摂取量を減らすとがんのリスクが低下するということを示した研究はありません。しかしさらに重要なのは、飽和脂肪を多く含む食品はカロリーも高く、がんや他の健康上の問題に関する危険因子である肥満の一因になることがあるという点です。

セレン

セレンが、がんのリスクを低下させることについて、確かな科学的証拠はありません。

香辛料

ウコン、カプサイシン(トウガラシ)、クミン、またはカレー粉などの香辛料が、がんのリスクを減少させるという確かな科学的証拠は得られていません。

紅茶や緑茶が、がんのリスクを減少させるという確かな科学的証拠は得られていません。

ビタミンD

ビタミンDをオメガ3脂肪酸と一緒に摂取すると、がんによる死亡のリスクは低下する可能性がありますが、がんが発生するリスクは低下しません。いかなる潜在的な便益も、黒人でより大きくなります。

ビタミンE

ビタミンEのサプリメントが、がんのリスクを減少させるという科学的証拠は得られておらず、一方で前立腺がんやその他のがんのリスクが高くなることを示唆するいくつかの証拠があります。

さらなる情報

以下の英語の資料が役に立つかもしれません。こちらの情報源の内容について、MSDマニュアルでは責任を負いませんのでご了承ください。

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