(スポーツ関連脳しんとう スポーツ関連脳しんとう 脳しんとうとは、頭部に外傷を負った後に脳機能に一時的な変化がみられるにもかかわらず、CTやMRIなどの画像検査では脳損傷の徴候が認められないことを指します。スポーツ中に脳しんとうを起こした人は、繰り返し脳しんとうが起こるリスクがあり、恒久的な脳損傷などの深刻な転帰につながることがあります。 高速での衝突が生じるスポーツ(例えば、アメリカンフットボール、ラグビー、アイスホッケー、ラクロス)では、脳しんとうを起こすリスクが非常に高くなります... さらに読む と 頭部外傷の概要 頭部外傷の概要 脳が関与する頭部外傷は特に懸念されます。 頭部外傷の一般的な原因には、転倒や転落、自動車事故、暴行、スポーツやレクリエーション活動中の事故などがあります。 軽症の頭部外傷では頭痛やめまいが起こることがあります。 重症の頭部外傷では、意識を失ったり、脳機能障害の症状が現れたりすることがあります。... さらに読む も参照のこと。)
脳しんとうでは、CT検査やMRI検査などの画像検査で脳の損傷が検出されないにもかかわらず、脳細胞が一時的に傷ついたり機能障害に陥ったります。患者には一時的に脳機能障害の症状がみられます。
脳しんとうの症状として、少なくとも次のうちの1つが現れます。
一時的な混乱:放心したようになり、返答が遅くなる
記憶障害:けがの直前または直後の出来事を思い出せない
複視
光に対する過敏性
めまい、動きのぎこちなさ、平衡感覚障害
頭痛
吐き気と嘔吐
嗅覚または味覚の喪失
意識消失は短時間で回復することが多く、15分以上続くことはまれです。脳しんとうが起こったのに気づかない人もいます。
脳しんとう後症候群とは、脳しんとうの後にときおり起こる特定の症状で、脳しんとうが起こってから長くて数週間後まで続きます。次のうちの少なくとも1つの症状がみられます。
頭痛
睡眠障害
疲労
短期記憶の問題
集中力の低下
光や音への過敏性
人格の変化(易怒性、気分変動など)
脳しんとう後症候群の症状は脳しんとうが起こってから1週間以内によくみられ、一般に2週目には消失します。ただし、ときには数カ月から、まれに数年間も続くことがあります。また、脳しんとうを起こしたことがある人は、再発しやすくなるとみられており、特に前回の脳しんとうの症状が完全に消える前に新たな頭部外傷を負うと、脳しんとうが起こりやすくなります。
脳しんとうの診断には、脳の構造が損傷を受けていないことを確認する必要があります。CTやMRI検査、またはその両方が必要になる可能性があります。脳の構造に損傷がないことが確認されれば、症状の治療だけを行います。
脳しんとうによる痛みには、アセトアミノフェンを投与します。 アスピリンなどの非ステロイド系抗炎症薬(NSAID 非ステロイド系抗炎症薬 痛み止め(鎮痛薬)は、痛みの治療に使用される主な薬剤です。医師が痛み止めを選択する際には、痛みの種類および持続期間と、それぞれの痛み止めで予想されるベネフィットとリスクを考慮します。ほとんどの痛み止めは侵害受容性疼痛(損傷による痛み)に対しては効果がありますが、 神経障害性疼痛(神経、脊髄、脳の損傷や機能障害による痛み)に対してはあまり効果がありません。多くのタイプの痛み(特に... さらに読む )は血液凝固を抑える作用があり、傷ついた血管からの出血を引き起こすことがあるため、服用するべきではありません。脳しんとうの最も効果的な治療は、脳と体の両方の安静です。
脳しんとう後症候群の治療は症状の程度によって異なります。安静と十分な経過観察が重要です。脳しんとうを起こした人の症状が悪化した場合、評価のために診療所または病院に連れて行く必要があります。
情緒面に問題が生じた場合には、精神療法が必要になることもあります。
脳しんとうが生じた後は、すべての症状が治まり、医師による医学的評価が終了するまで、体の接触を伴うスポーツを再開してはいけません。
脳しんとうが繰り返し起こると、後年になって 認知症 認知症 認知症とは、記憶、思考、判断、学習能力などの精神機能が、ゆっくりと進行性に低下していく病気です。 典型的な症状は、記憶障害、言語や動作の障害、人格の変化、見当識障害、破壊的または不適切な行動などです。 症状が進行すると普段の生活が送れなくなり、他者に完全に依存するようになります。 診断は症状と身体診察および精神状態検査の結果に基づいて下されます。 原因を特定するために血液検査と画像検査が行われます。 さらに読む や パーキンソン病 パーキンソン病 パーキンソン病は、脳の特定の領域がゆっくりと進行性に変性していく病気です。特徴として、筋肉が安静な状態にあるときに起こるふるえ(安静時振戦)、筋肉の緊張度の高まり(こわばり、筋強剛)、随意運動が遅くなる、バランス維持の困難(姿勢不安定)などがみられます。多くの患者では、思考が障害され、認知症が発生します。 パーキンソン病は、動きを協調させている脳領域の変性によって起こります。... さらに読む 、 うつ病 うつ病 遷延性悲嘆症についての短い考察。 うつ病とは、悲しみを感じたり、活動に対する興味や喜びが減少したりする症状がその人の社会生活を困難にするほど強くなり、病気になった状態です。喪失体験などの悲しい出来事の直後に生じることがありますが、悲しみの程度がその出来事とは不釣り合いに強く、妥当と考えられる期間より長く持続します。 遺伝、薬の副作用、つらい出来事、ホルモンなど体内の物質の量の変化、その他の要因がうつ病の一因になる可能性があります。... さらに読む のリスクが高まることがあります。
さらなる情報
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米国脳損傷協会(Brain Injury Association of America):小児と成人を対象とした脳損傷の予防、診断、治療に関する情報を提供しています。