クロストリジオイデス（以前いぜんはクロストリジウム）・ディフィシル腸炎ちょうえん

結腸けっちょうは大腸だいちょうの一部いちぶです。大腸だいちょうの炎症えんしょうを大腸炎だいちょうえんといいます。クロストリジオイデス・ディフィシル（Clostridioides difficile）は、大腸炎だいちょうえんを引ひき起おこす細菌さいきんです。大腸炎だいちょうえんになると、下痢げりなどの症状しょうじょうが現あらわれます。クロストリジオイデス・ディフィシル（Clostridioides difficile）やこの細菌さいきんが引ひき起おこす病気びょうきは、英語えいごではしばしばC. difficileやC. diffと略りゃくされます。

• 症状しょうじょうは、軽かるい下痢げりだけのこともあれば、血ちが混まじった下痢げりが何度なんども出でて、おなかの痛いたみと発熱はつねつが起おきることもあります。

• あなたがクロストリジオイデス・ディフィシル腸炎ちょうえんかどうかを判断はんだんするために、医師いしは便べんの検査けんさをするほか、体からだの中なかを見みるための管くだで大腸だいちょうの中なかを調しらべることもあります。

• 最もっともクロストリジオイデス・ディフィシル腸炎ちょうえんになりやすいのは、別べつの病気びょうきのために抗菌薬こうきんやくを飲のんだ後あとです。

• 軽かるいクロストリジオイデス・ディフィシル腸炎ちょうえんになった人ひとでは、その原因げんいんになった抗菌薬こうきんやくを飲のむのをやめると、具合ぐあいがよくなることがあります。

• 下痢げりが治おさまらなかったり、重おもくなったりした場合ばあいは、クロストリジオイデス・ディフィシルを殺ころすために、別べつの抗菌薬こうきんやくを飲のむ必要ひつようがあります。

大腸だいちょうの中なかにはふつう、たくさんの種類しゅるいの微生物びせいぶつが住すんでいます。クロストリジオイデス・ディフィシルは、そうした微生物びせいぶつの1つです。ふつうは、こうした微生物びせいぶつは体からだに害がいをもたらしません。しかし、こうした微生物びせいぶつのどれかが際限さいげんなく増ふえて、病気びょうきを引ひき起おこすことがあります。クロストリジオイデス・ディフィシルが際限さいげんなく増ふえると、腸ちょうの表面ひょうめんを傷きずつけて、下痢げりを引ひき起おこす物質ぶっしつ（毒素どくそ）をつくります。

別べつの感染症かんせんしょうのために抗菌薬こうきんやくを飲のむことは、クロストリジオイデス・ディフィシルが増ふえて感染症かんせんしょうを引ひき起おこす原因げんいんとして、最もっともよくあるものです。抗菌薬こうきんやくを飲のむと、腸ちょうの中なかにいるさまざまな細菌さいきんのバランスが乱みだれて、クロストリジオイデス・ディフィシルが増ふえやすくなることがあります。

クロストリジオイデス・ディフィシル腸炎ちょうえんにかかる危険性きけんせいは、年としをとるにつれて高たかくなります。赤あかちゃんや小ちいさな子こどもでも、かかる危険性きけんせいが高たかいです。ほかにも、次つぎのことがらがあると、危険性きけんせいが高たかまります：

• もともと重おもい病気びょうきにかかっている

• 長ながい間あいだ、入院にゅういんしている

• 介護施設かいごしせつに住すんでいる

• 胃いや腸ちょうの手術しゅじゅつを受うけた

ときには、医師いしにもクロストリジオイデス・ディフィシル腸炎ちょうえんの原因げんいんが分わからないこともあります。

症状しょうじょうはたいてい、別べつの感染症かんせんしょうのために抗菌薬こうきんやくを飲のみ始はじめてから5～10日後かごに現あらわれます。しかし、長ながいときでは、抗菌薬こうきんやくを飲のむのをやめてから2カ月げつたって初はじめて症状しょうじょうが現あらわれることもあります。

症状しょうじょうは、軽かるい下痢げりだけのこともあれば、次つぎのものが現あらわれることもあります：

• 血ちが混まじった下痢げり

• おなかの痛いたみ

• 発熱はつねつ

• まれに、吐はき気けや嘔吐おうと

特とくにひどい場合ばあいは、次つぎのような深刻しんこくな合併症がっぺいしょうが起おこることがあります：

• 脱水だっすい（体からだの水分すいぶんが減へりすぎた状態じょうたい）

• 低血圧ていけつあつ

• 大腸だいちょうが危険きけんなほど腫はれる

• 大腸だいちょうに穴あながあく

医師いしは、あなたの下痢げりが次つぎの期間きかんに起おきた場合ばあいに、クロストリジオイデス・ディフィシル腸炎ちょうえんを疑うたがいます：

• 抗菌薬こうきんやくを使つかってから2カ月げつ以内いない

• 病院びょういんに入院にゅういんしてから72時間じかん以内いない

医師いしはその後ご、次つぎのことをします：

• 便べんのサンプルの中なかにクロストリジオイデス・ディフィシルとその毒素どくそが含ふくまれていないか調しらべる

• 体からだの中なかを見みるための管くだで大腸だいちょうの中なかを見みて、大腸だいちょうの炎症えんしょう（大腸炎だいちょうえん）や、そのほかの変化へんかが起おきていないか調しらべる

医師いしは次つぎの方法ほうほうでクロストリジオイデス・ディフィシル腸炎ちょうえんを治療ちりょうします：

• この病気びょうきの原因げんいんになった抗菌薬こうきんやくを使つかうのをやめる

• クロストリジオイデス・ディフィシルに効きく、口くちから飲のむ抗菌薬こうきんやくを使つかう

下痢げりを落おち着つかせる薬くすりや止とめる薬くすりを飲のんではいけません。そうしてしまうと、クロストリジオイデス・ディフィシルの毒素どくそが腸ちょうの中なかにとどまって、あなたの具合ぐあいがさらに悪わるくなることがあります。

5人にんに1人ひとりは、症状しょうじょうが何度なんども再発さいはつします。症状しょうじょうの再発さいはつを予防よぼうするために、次つぎの治療ちりょうをすることがあります：

• 抗菌薬こうきんやくを長期間ちょうきかん使つかう

• プロバイオティクス（腸ちょうの中なかの細菌さいきんのバランスを元もとにもどすのに役立やくだつ薬くすり）

• 便べん移植いしょく（ほかの人ひとの健康けんこうな便べんを腸ちょうの中なかに入いれて細菌さいきんのバランスを整ととのえる）

症状しょうじょうがとてもひどい場合ばあいは、入院にゅういんする必要ひつようがあり、入院中にゅういんちゅうに医師いしが次つぎの方法ほうほうで治療ちりょうします：

• 抗菌薬こうきんやく

• 静脈じょうみゃくから水分すいぶんを補給ほきゅうする

• 電解質でんかいしつ

• 輸血ゆけつ

まれに、とてもひどい感染かんせんが起おきた腸ちょうを切きり取とる手術しゅじゅつをすることもあります。