けいれん性疾患とはどのような病気ですか?
けいれん発作は、脳の電気信号が変化することで起きる発作です。けいれん性疾患とは、けいれん発作を引き起こす病気のことです。
脳は神経細胞でできています。神経細胞は、電気信号を利用して、たがいにやり取りをしています。あまりに多くの神経細胞がいっせいに信号を送ると、発作が起こります。
けいれん発作を起こした人は、次のようになることがあります:
たおれて、体がガタガタふるえ出す
意識がなくなったり、頭が混乱したりする
ふつうは数分すると、神経細胞が正しく動き始め、正常な状態にもどります。
もし発作が5分以上続いている人がいたら、緊急通報用の番号(日本では119番、アメリカのほとんどの地域では911番)に電話をかけて救急車を呼ぶか、すぐに病院に連れて行ってください。
けいれん発作の予防に薬が役立つことがあります。
てんかんは、けいれん性疾患の一種です。
子どもでは、高熱によってけいれん発作が起こることがあります(熱性けいれん)
てんかんとはどのような病気ですか?
てんかんは、けいれん発作がくり返し起きる、けいれん性疾患です。
一度けいれん発作が起こっても、再び起こることがなく、てんかんにはならない人もいます。てんかんの人には、けいれん発作が何度も起こりますが、発作の回数は人によってちがいます。てんかんになった人の中には、発作になるのが1年に1回か2回だけの人もいます。毎日けいれん発作になる場合もあります。
けいれん性疾患の原因は何ですか?
ほとんどの場合、けいれん性疾患の原因は医師にも分かりません。
赤ちゃんのときに最初のけいれん発作が起こる場合、成人のときに最初のけいれん発作が起こる場合とは原因がちがうのがふつうです。
2才になるまでに最初のけいれん発作が起こる場合、よくある原因は次のとおりです:
高熱
体内の化学物質のバランスの異常(代謝性疾患といいます)
生まれたときからある脳の異常
生まれてくるときに起きた酸素の不足
母親が妊娠中に一部の薬を使用したこと
18才以降に最初のけいれん発作が起こる場合、よくある原因は次のとおりです:
けいれん発作が1回だけ起きる場合、最もよくある原因は次のものです:
まぶしい光やコンピュータゲーム(反射てんかん)が原因でけいれん発作が起こることがありますが、このようなことは、めったにありません。
けいれん発作が起きると、どうなりますか?
発作が始まる前に、いくつかの症状が現れることがあります(これを前兆といいます)。あなたは次のことに気づくかもしれません:
変なにおいがする
変な味がする
デジャヴ(目の前で起きていることが前にもあったように思える感覚)を感じる
発作が起こりそうな感じがする
発作が起きている間は、何が起こっているの分からず、人と話をすることも、問いかけに答えることもできません。それでも呼吸はしています。
けいれんが起きたとき、次のようになる場合があります:
たおれて、全身がふるえ始める
ぼんやりしたり、頭が混乱したりする
ぐったりして、気を失う
話をすることができない
背中を曲げて、固まったように見える
膀胱や腸をコントロールできなくなって、排尿や排便をしてしまう
ときには、けいれん(筋肉がピクピクしたり、収縮したりすること)が片方の腕や脚など、体の一部だけに起こることもあります。
けいれん発作が終わった後も、1~2時間は少し頭が混乱しているように感じられ、次のような症状がみられるかもしれません:
頭痛
筋肉の痛み
ひどく力がぬけて、疲れたように感じる
運転しているときや、はしごを登っているときに、けいれん発作が起こると、あなた自身やほかの人がけがをする可能性があります。
私がけいれん発作を起こしたら、医師はどうしますか?
医師は、あなたが以前にけいれん発作を起こしたことがあるかどうかによって、それぞれちがう治療をします。もし以前にけいれん発作を起こしたことがあるなら、ふつう、たくさんの検査は必要ありません。
それが初めて起きたけいれん発作なら、医師はその原因を見つけようとします。医師はあなたの診察をして、たくさんの質問をし、ふつうは次のような検査をします:
脳波検査(脳の電気信号をはかる、痛みのない、安全な検査)
血液検査または尿検査
心電図検査(心臓を流れる電流をはかって、心拍の速さとパターンをはかる、すぐにできて、痛みのない、安全な検査)
MRI検査(強い磁場を利用して脳の詳細な画像を作成する画像検査)
腰椎穿刺(脳の感染症が疑われる場合)
以前にけいれん発作を起こしたことがあるなら 、医師はすでに十分あなたの体のことを調べているので、検査は必要ない場合があります。医師はふつう、次のような場合に、あなたに病院に来てもらって、検査をしたいと考えます:
けいれん発作がいつもより長く続いた
ふだんとちがう、けいれん発作だった
ふつうの状態にもどるのに、いつもより時間がかかった
熱がある
けがをした
けいれん発作を予防するための薬を服用している場合、医師はふつう血液検査をして、血流中に十分な薬があるかどうかを調べます。
医師は、けいれん発作が時間をおいて2回以上起こった場合に、あなたをけいれん性疾患と診断します。
医師はけいれん性疾患をどのように治療しますか?
医師のもとや病院の中にいるときに発作が起きたら、医師は次のことをする場合があります:
けいれん発作が5分以上続いている場合、けいれん発作を止めるために静脈から薬を注射する
けいれん発作の原因が分かった場合、医師はそれを治療をします。
けいれん発作を予防するために、医師はあなたに:
抗てんかん薬を毎日飲むように指示します。
アルコール、薬物、ストレスが発作のきっかけになっているなら、それらを避けるように指示します。
抗てんかん薬は、医師の処方どおりに飲むことが、とても大切です。薬を飲まないことが、発作が起こるよくある理由の1つです。
過去6カ月以内にけいれん発作があった場合、医師はふつう、あなたに次のことをしないように助言します:
電動工具を操作すること
高いところに登ること
泳ぐこと
おふろに入ること
車を運転すること
けいれん発作が起こることなく6カ月がたてば、ふつうは、これらのことを再開することができます。
だれかがけいれん発作を起こしたら、私はどうすればよいですか?
パニックにならないようにしてください(ほとんどのけいれん発作は1~2分で自然に止まります)。
けがをしそうなもの(階段やとがったものなど)から、その人を遠ざけてください。
服の首まわりの部分をゆるめてください。
横向きに寝かせてください。
頭の下に枕を置いてください。
けいれん発作が収まるまで、そばから離れないでください。
医師に連絡してください。
次のような対処法を聞いたことがあるかもしれませんが:
その人の口にスプーンなどの物を入れてはいけません。
その人の舌をつかもうとしてはいけません。