網膜芽細胞腫もうまくがさいぼうしゅ

網膜もうまくは、眼球がんきゅうの奥おくにあって、光ひかりを感かんじ取とる組織そしきです。網膜芽細胞腫もうまくがさいぼうしゅは網膜もうまくのがんで、ほとんどが小ちいさな子こどもに起おこります。

• 網膜芽細胞腫もうまくがさいぼうしゅは、なりやすい体質たいしつが家族かぞくの中なかで受うけつがれることがあります。

• ふつうは2才さいになるまでに起おこります。

• 網膜芽細胞腫もうまくがさいぼうしゅの子こどもの約やく4人にんに1人ひとりでは、両方りょうほうの目めに起おこります。

• 網膜芽細胞腫もうまくがさいぼうしゅがある子こどもは、瞳孔どうこうが白しろかったり、斜視しゃしがあったり、視覚しかくに異常いじょうが起おきたりすることがあります。

• 治療ちりょうとしては、手術しゅじゅつや化学療法かがくりょうほうのほか、ときには放射線療法ほうしゃせんりょうほうをすることもあります。

網膜芽細胞腫もうまくがさいぼうしゅは、目めの成長せいちょうをコントロールする遺伝子いでんしの異常いじょうによって引ひき起おこされます。赤あかちゃんがこの異常いじょうを親おやから受うけつぐこともあれば、異常いじょうが自然しぜんに起おこることもあります。

次つぎのような症状しょうじょうがあります：

• 瞳孔どうこう（目めの中心ちゅうしんにある黒くろい点てん）が黒くろではなく白しろい

• 左右さゆうの目めが別べつの方向ほうこうを向むく（斜視しゃし）

• 網膜芽細胞腫もうまくがさいぼうしゅが大おおきい場合ばあい、視覚しかくの問題もんだい

がんが広ひろがっていると、嘔吐おうとをしたり、食欲しょくよくがなくなったり、頭痛ずつうがしたりすることがあります。

医師いしは、網膜芽細胞腫もうまくがさいぼうしゅを疑うたがった場合ばあい、次つぎのことをします：

• 全身麻酔ぜんしんますいをして、お子こさんが眠ねむっている間あいだに特別とくべつな目めの診察しんさつをする

• 網膜もうまくを見みるための超ちょう音波検査おんぱけんさ、CT検査けんさ、またはMRI検査けんさ

お子こさんに網膜芽細胞腫もうまくがさいぼうしゅがある場合ばあい、医師いしはがんが広ひろがっているかどうかを調しらべるために、さらに次つぎのような検査けんさをします：

• 骨こつシンチグラフィー

• 骨髄こつずいのサンプルをとって、がんがないか調しらべる検査けんさ（骨髄生検こつずいせいけん）

• ときには腰椎穿刺ようついせんし

医師いしは遺伝子検査いでんしけんさもして、お子こさんの網膜芽細胞腫もうまくがさいぼうしゅが家族かぞくの中なかで受うけつがれるタイプのものかどうかを調しらべます。その場合ばあいは、医師いしはお子こさんの家族かぞくにも検査けんさをします。網膜芽細胞腫もうまくがさいぼうしゅになる危険性きけんせいがある兄弟きょうだいや姉妹しまいは、生うまれてから4才さいまでの間あいだ、4カ月げつごとに目めの診察しんさつを受うける必要ひつようがあります。同おなじ遺伝子いでんしが大人おとなの網膜もうまくに、がんではない腫瘍しゅようを引ひき起おこすこともあるため、親おやの目めも調しらべる必要ひつようがあります。

治療法ちりょうほうは、網膜芽細胞腫もうまくがさいぼうしゅがある場所ばしょと、がんが広ひろがっているかどうかによって変かわります。腫瘍しゅようをすべて取とり除のぞくことが大切たいせつですが、可能かのうなら、医師いしは視力しりょくを残のこせる治療法ちりょうほうを選えらびます。

網膜芽細胞腫もうまくがさいぼうしゅが片目かためだけにある場合ばあいは、医師いしはふつう、次つぎのことをします：

• 目めを取とり出だす

網膜芽細胞腫もうまくがさいぼうしゅが両目りょうめにある場合ばあいは、医師いしは大おおきい方ほうの腫瘍しゅようがある目めを取とり出だし、もう片方かたほうの目めを取とり出ださずに治療ちりょうすることで、お子こさんがものを見み続つづけられるよう試こころみることがあります。そうした治療ちりょうでは、次つぎの方法ほうほうが用もちいられます：

• 目めに血液けつえきを送おくっている太ふとい動脈どうみゃくから化学療法かがくりょうほうの薬くすりを直接ちょくせつ注射ちゅうしゃする

• 放射線療法ほうしゃせんりょうほう

• 凍結療法とうけつりょうほう

• レーザー療法りょうほう

• 放射性物質ほうしゃせいぶっしつの小ちいさなかたまりを腫瘍しゅようの近ちかくに入いれる（密封小線源治療みっぷうしょうせんげんちりょう）

治療ちりょうが終おわったら、がんが再発さいはつしていないことを確たしかめるために、専門医せんもんいがお子こさんを定期的ていきてきに診察しんさつする必要ひつようがあります。